オランダ情報機関、米民主党へのロシアのハッキングを防犯カメラで「目撃」
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【1月27日 AFP】2016年の米大統領選にロシアが介入した「決定的証拠」をオランダの情報機関が米国の情報機関に提供していたと、オランダのメディアが26日、報じた。
オランダの日刊紙フォルクスラント(Volkskrant)とテレビのニュース番組「ニュースアワー(Nieuwsuur)」によると、オランダの情報機関「総合情報保安局(AIVD)」は2014年から悪名高いロシアのハッカー集団「コージーベア(Cozy Bear)」を監視してきた。
両メディアが米・オランダの匿名の情報源の話として報じたところによると、AIVDは米民主党へのハッキングの技術的証拠とロシアが関与した「決定的証拠」を米当局に提供した。
ロシアの首都モスクワの赤の広場(Red Square)付近の大学の建物から発するロシアのコンピューターネットワークにたまたま侵入したAIVDのエージェントらは、ハッキングを行っていた部屋を監視する防犯カメラへのアクセス権も掌握した。フォルクスラントは「情報機関はロシア側が何を行っていたかだけではなく、誰がそれを行っていたかも見ることができた」と伝えている。
フォルクスラントによると、AIVDは2015年、コージーベアが米民主党首脳のコンピューターに侵入し、大量の電子メールや文書を移動させるのを目の当たりにしたと、米国の情報機関に通報した。
しかし、米国側が「このハッキングによってロシアが米大統領選に介入し、AIVDのエージェントがまさにその現場を目撃していた」ということを理解するまでに数か月かかったという。
防犯カメラから入手した画像が決め手となり、AIVDは、コージーベアはロシアの情報機関である対外情報局(SVR)の監督下にあると結論づけた。
コージーベアは共和党のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が勝利した米大統領選に介入したとして広く非難されてきた。
フォルクスラントによると、オランダは2014年11月にも、コージーベアが米国務省にハッキングしていると米情報機関に通報していた。
この攻撃は24時間にわたるサイバー戦の末に阻止されたものの、「トロイの木馬(Trojan Horse)」と呼ばれるマルウエア(悪意のあるソフトウェア)を仕掛けられた電子メール1通が守りを突破し、コージーベアにホワイトハウス(White House)へのアクセスを許した。
フォルクスラントは、AIVDによるコージーベアの監視は1年から2年半にわたって続いたが、現在AIVDのハッカーはコージーベアのネットワークにいないと報じている。(c)AFP