子ども800人が麻疹や栄養失調、100人死亡か インドネシア・パプア州
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【1月26日 AFP】インドネシア最東部パプア(Papua)州で麻疹と栄養失調が広まっている問題で、同国の当局は25日、子どもの患者数が約800人に達しており、さらに最大100人が死亡した恐れがあると明らかにした。死者の大半は幼い子どもとされる。
隣国パプアニューギニアと領土を二分しているニューギニア(New Guinea)島の西側に位置するパプア州では、貧困に対する不満などを背景に分離独立派による小規模な反乱行為も起きている。
今回の健康危機は今月半ばに初めて公になったもので、医療などの基本的なサービスが深刻に不足している状況を浮き彫りにしている。インドネシアのジョコ・ウィドド(Joko Widodo)大統領は事態を受け、同州の遠隔地にある村々への物資供給を軍隊と医療当局に指示した。
AFP記者によると、同州アガツ(Agats)では25日、設備が整っていない病院が患者であふれかえり、医師らは対応に苦慮している。悪臭の漂う病院の廊下では、やせ細った子どもらが泣きながら歩きまわる姿や、ぼろぼろの担架の上に横たわる患者が見られた。
地元当局者らは、麻疹患者の急増に衝撃を受けている。院長はAFPの取材に対し「われわれは(麻疹拡大についての)情報を受けるのが遅すぎたため、多くの死者が出ることになった」と説明した。感染拡大の一因には、食糧不足による免疫機能の低下があるとされている。
アガツは、麻疹がまん延している湿原地帯のアスマット(Asmat)で唯一の病院がある場所で、子どもに治療を受けさせるために数時間かけて訪れる親も多い。
同地域の多くの建物と同じく杭上に建てられている同病院では病床数が80床とスペースが不足しているため、数十人の患者が近くの教会で治療を受けている。(c)AFP/Kiki Siregar