ベルギーの「死の助祭」、自宅改築のストレスで「最大20人殺した」
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【1月24日 AFP】ベルギーでローマ・カトリック教会の助祭を務める元看護師の男が、自宅のリフォームなど個人的な問題のストレスから複数の患者を殺害していたことが分かった。
ベルギーのメディアで「死の助祭」と呼ばれているイボ・ポッペ(Ivo Poppe)被告(61)は、23日に北部ブリュージュ(Bruges)で開始した公判で、最大20人を殺害したことを認めた。
ポッペ被告は仏国境に近いメーネン(Menin)の診療所で、患者に精神安定剤ジアゼパムを投与したり、静脈に空気を注射して致命的な塞栓症を引き起こしたりした。
ベルギー紙が引用した裁判記録によると、ポッペ被告は裁判の冒頭手続きで「10から20──多くても20人。おおよその数字だけどそのくらい」だと述べ、「彼らの苦しみを終わらせてあげたかった。彼らはもはや本当の意味で生きてはいなかった」と語った。
既婚者で3人の子どもの父親でもあるポッペ被告は、自らが行った殺人に対する後悔の念を示し「今だったら、緩和ケアチームを呼んでいただろう」と述べた。
しかし捜査官らによると、ポッペ被告は複数の殺人が行われたとみられる1993年について問われたとき、自身の行動について異なる説明をしたという。ベルガ(Belga)通信によると、捜査官のうち1人は「当時、彼(ポッペ被告)は妻の手術、姉妹の離婚、自宅のリフォーム、助祭になるための訓練などで特にストレスを感じていた」と述べた。
さらに被告は自分の実母や義父、2人の叔父も手にかけたと捜査官らに語ったという。
捜査チームはのべ65件の殺人容疑について捜査したが「(ポッペ被告の犠牲者の)実数は見当もつかない」と述べた。ポッペ被告は1980年代から90年代にかけて同診療所に勤務し、その後、助祭になってからも2011年まで臨床宗教師として訪問を続けていた。(c)AFP