【1月22日 AFP】中国沖の東シナ海(East China Sea)で石油タンカーが貨物船と衝突・炎上し沈没した事故で、中国国家海洋局(SOA)は、原油の流出範囲がこの1週間で3倍以上に広がったことを明らかにした。

 21日夜にSOAが発表した声明によると、3つに分かれた帯状の油膜が332平方キロメートルにわたって海面を覆っていることを中国当局が確認したという。原油の流出範囲は、17日時点では約101平方キロメートルだった。

 イラン企業が所有するパナマ船籍のタンカー「サンチ(Sanchi)」(全長274メートル)は今月初め、東シナ海で香港船籍の貨物船「CFクリスタル(CF Crystal)」と衝突。8日間炎上を続けた後、14日に沈没した。イラン人30人、バングラデシュ人2人の乗組員のうち見つかった遺体は3人にとどまっている。

 サンチは当初13万6000トンの軽質原油を積載していたと報じられていたが、交通運輸省は19日、積載量は11万1000トンだったと訂正した。

 SOAによれば、サンチが沈没した海域では21日夜現在、中国海警局の船3隻が原油流出状況の調査・分析を行っている。

 サンチが積載していたコンデンセート(超軽質原油)は、流出した際に一般的な石油流出事故のような厚い油膜を海面に形成しないが、海水からの分離はずっと難しく、海洋生物にとっては極めて有毒だ。沈没現場付近の海域はケンサキイカの重要な産卵場所で、カニや魚類の越冬地ともなっていると国際環境保護団体「グリーンピース(Greenpeace)」は指摘している。(c)AFP