【1月22日 AFP】フランスを代表するフェミニストのシモーヌ・ド・ボーボワール(Simone de Beauvoir)が18歳年下の交際相手にささげた「狂おしい情熱」が21日、初公開された書簡の中で明らかになった。

 書簡では、ボーボワールのパートナーだった実存主義哲学者のジャンポール・サルトル(Jean-Paul Sartre)が、ボーボワールを性的に満足させたことが一度もなかったこともうかがえる。

 結婚は女性を奴隷にする「わいせつな」制度と批判した古典的作品「第二の性(The Second Sex)」の著者であるボーボワールは1953年、映画監督クロード・ランズマン(Claude Lanzmann)氏(92)に宛てた手紙の中で、「(あなたの)腕の中に身を投げ出し、いつまでもそのままでいたい。私は永遠にあなたの妻です」と記している。

 この書簡は、ボーボワールが共に暮らした唯一の男性であるランズマン氏に宛てた112通のラブレターの一つ。書簡はすべて米エール大学(Yale University)に売却された。

 この書簡からは、多くの愛人を作り、別々のアパートに住み続けたサルトルが、ランズマン氏と同じようにボーボワールを肉体的に満足させたことが一度もなかったことがうかがえる。

 ボーボワールはランズマン氏に対し、「確かに彼(サルトル)のことは愛していた」「でも愛が戻ってこなければ、私たちの肉体は何の意味も持たなかった」と記している。

 ランズマン氏は、サルトルの秘書をしていた26歳のときに当時44歳だったボーボワールに出会った。仏知識階級の黄金コンビだったボーボワールとサルトルは、互いの関係をオープンにし、同様の三角関係を数々楽しみ、時に耐え忍んだ。

 ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)をテーマにしたドキュメンタリー映画『ショア(Shoah)』で高い評価を受けたランズマン氏は、仏紙ルモンド(Le Monde)に対し、2人の恋愛の全容を今になって明らかにしたことについて、ボーボワールの養女との対立が原因だと語っている。