15歳ザギトワが初優勝、ロシア勢は全12個中9個のメダル獲得 フィギュア欧州選手権
このニュースをシェア
【1月21日 AFP】フィギュアスケート欧州選手権(ISU European Figure Skating Championships 2018)は20日、ロシア・モスクワで女子シングル・フリースケーティング(FS)が行われ、15歳のアリーナ・ザギトワ(Alina Zagitova、ロシア)が女王エフゲニア・メドベデワ(Evgenia Medvedeva、ロシア)の3連覇を阻み、大会初優勝を果たした。国家ぐるみの組織的なドーピング違反で来月の平昌冬季五輪出場が禁じられながらも、クリーンな選手に関しては厳しい条件と中立旗の下での参加を認められているロシア勢だが、今大会では大きな成功を収め、全12個のメダルのうち計9個を獲得している。
ザギトワが旋風を巻き起こしているシニアデビューシーズンにまた新たな1ページを刻んだ。ザギトワはミスのない完璧な演技で合計238.24点を記録し、けがからの復帰戦で232.86点をマークしたメドベデワを抑えて優勝した。204.25点の3位にはカロリーナ・コストナー(Carolina Kostner、イタリア)が入っている。
赤い衣装をまとったザギトワは、バレエ音楽「ドン・キホーテ(Don Quixote)」の楽曲に乗せた演技で4分間の魔法を見せると、会場のジャッジを魅了され、観客は花束やクマのぬいぐるみを投げ入れて演技をたたえた。ショートプログラム(SP)を首位で終えて迎えたフリーで、これがシニアデビューシーズンとは思えない落ち着いた滑りを見せ、同じコーチに師事する3歳年上のメドベデワをわずかに上回る得点を出した。
コストナーが大会初優勝を果たした2007年には、まだ4歳でスケートを始めてさえいなかったザギトワは「母国で滑るのは、プレッシャーでもありました。国やファンのみなさんをがっかりさせるわけにはいきませんから。ですがたくさんの応援があったので、すごく滑りやすさもありました」と話した。
ザギトワは演技開始から実に2分間ジャンプを跳ばず、後半にすべてのジャンプを詰め込むという大胆な構成を採用。それでも最初の3回転ルッツと3回転ループのコンビネーションジャンプを成功させると、続くダブルアクセルから3回転トーループも着氷。その後も次々にジャンプを成功させた。
その数分後に滑ったメドベデワは、『アンナ・カレーニナ(Anna Karenina)』の音楽に乗せた演技を終えると、やり切ったというように腰に手を当てたが、ザギトワの得点と自己ベストに及ばない154.79点という結果が表示されると目を閉じた。
右足の骨折でグランプリ(GP)ファイナルとロシア選手権(2018 Russian Figure Skating Championships)を欠場し、今回が復帰戦だったメドベデワは「一番の勝利はここに立てていること。出られない期間が長引くほど状況は悪くなるけど、今は満足ですし、観客のみなさんが名前を叫んでくれるのはとにかく最高でした」とコメントした。
ロシアのフィギュアスケート界のスター2人は、3週間後の平昌冬季五輪で再び金メダル争いを繰り広げる可能性がある。国家ぐるみの薬物違反で五輪出場を禁止されているロシアだが、2人は個人資格での出場を認められる選手の中に含まれているとみられる。ザギトワは「五輪では白い旗の下で戦いますが、それでも私たちは『ロシアの選手』です。心の中では自分でわかっています」と語った。
■アイスダンスではフランスのペアが新記録
アイスダンスでは、フランスのガブリエラ・パパダキス(Gabriella Papadakis)/ギヨーム・シゼロン(Guillaume Cizeron)組が自己最高点を更新する見事な演技を披露し、大会4連覇を果たした。
無敵の二人は、完璧な滑りでロシア勢を中心としたライバルを退け、121.87点を獲得して合計203.16点を記録。今季はすでにアイスダンス史上初の200点超えのスコアを出しており、平昌五輪の金メダル候補であることを改めて印象づけた。
約16点差の2位にはエカテリーナ・ボブロワ(Ekaterina Bobrova)/ドミトリ・ソロビエフ(Dmitri Soloviev)組、合計184.86点の3位にはアレクサンドラ・ステパノワ(Alexandra Stepanova)/イワン・ブキン(Ivan Bukin)組とロシア勢が入った。
ロシア勢が今大会でメダルを獲得できなかったのは、パパダキス/シゼロン組が制したアイスダンスの金メダル、ハビエル・フェルナンデス(Javier Fernandez、スペイン)が優勝した男子シングルの金メダル、そしてコストナーの銅メダルだけだった。(c)AFP/Nick REEVES