写真家マリオ・テスティーノにセクハラ疑惑
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【1月19日 AFP】世界的セレブの撮影やファッション誌で活躍する、写真家のマリオ・テスティーノ(Mario Testino)からセクハラを受けたと13人もの人が声を上げた。
米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)はテスティーノへの疑惑と共に、去年12月に男性モデル、ジェイソン・ボイス(Jason Boyce)氏よって訴えられた大物写真家ブルース・ウェーバー(Bruce Weber)の話も掲載した。
これらの疑惑は、米映画界の大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)のセクハラ問題が明らかになって以降、エンターテインメントやメディア、ファッションや政治の分野において影響力のある人物らへ押し寄せる一連の疑惑の、最も新しいケースだ。
ペルー出身のテスティーノは40年のキャリアを持ち、有名ファッションハウスの多くのキャンペーン写真を担当した。作品はファッション誌「ヴォーグ(Vogue)」などでも採用されており、今週発売予定の「ヴォーグ」2月号では、テスティーノがテニス選手のセレーナ・ウィリアムズ(Serena Williams)とその娘を撮影した写真が掲載されている。
また、英国のウィリアム王子(Prince William)とキャサリン妃(Catherine, Duchess of Cambridge) の婚約写真や、1997年に「ヴァニティ・フェア(Vanity Fair)」に掲載された故ダイアナ元皇太子妃(Princess Diana)の写真も担当した。
テスティーノは複数のモデルと元アシスタントたちから、とても強引にみだらな要求をされたと訴えられた。
「彼は性犯罪者だ」と言うのは1990年代後半に活躍したスーパーモデル、ライアン・ロック(Ryan Locke)。彼によると、ベッドで行われた写真撮影でテスティーノは撮影スタッフに部屋から出るように告げ、ベッドに上ってきてロックの上にまたがったと言う。「私が女で君が男だ」とテスティーノが言ってきたと、ロックは明かした。
元アシスタントであるヒューゴ・ティルマン(Hugo Tillman)が同じような経験があると語る。また、テスティーノが股間を脚にすりつけてきて、彼の目の前で自慰行為をしたと、同じく元アシスタントであるロマン・バレット(Roman Barrett)は告白した。「セクハラは日常茶飯事だった」
テスティーノはコメントを求められたが、すぐには発表しなかった。
これらの事件を報じた同じニューヨーク・タイムズの記事で、15人の現役、または引退した男性モデルたちが、ブルース・ウェーバーからセクハラ被害を受けたと訴えた。ウェーバーも同じくコメントは発表していない。
■コンデナスト、テスティーノとウェーバーの起用は見送り
「ヴォーグ」などの高級ファッション雑誌を出版している大手出版社「コンデナスト(Conde Nast)」は、この二人の写真家とは今後仕事をしないと発表した。
「これらの疑惑に非常に困惑しており、重く捉えている」とボブ・ソーアーバーグ(Bob Sauerberg)CEOと「ヴォーグ」のアナ・ウィンター(Anna Wintour)編集長は共同で声明を出した。その中で、「これらの疑惑を踏まえ、今後しばらくの間、ブルース・ウェーバーとマリオ・テスティーノに新規の仕事を依頼しない」とした。
また同社は、モデルたちをセクハラから守るためにガイドラインを10月から作成し始めているという。
ガイドラインでは18歳未満のモデルの採用の禁止やセットへのアルコール持ち込みの禁止、そして写真家やそのスタッフらとモデルを二人きりにしないことが推奨されていると同紙は報じている。ヌードや「性的な暗示を含む」ポーズが含まれる場合は、撮影前に説明と同意が必要だともされている。
昨年10月には、長年の疑惑の末、性的虐待を行ったことを理由に複数の雑誌やファッションハウスは、写真家のテリー・リチャードソン(Terry Richardson)を今後起用しないことを発表した。(c)AFP