【1月19日 AFPBB News】今は亡き愛犬にもう一度会いたい、本物は飼えないがどうしても犬と暮らしたい──。映画やテレビコマーシャルなどの特殊造型を手掛けるブラスト(BLAST)が戌(いぬ)年である今年、本物と見まがえるほど精巧な犬の模型をオーダーメードできるサービス「クローンワンコ(Clone Wanko)」を始めた。潤った瞳や鼻、ふわふわの毛並み、柔らかい皮膚や肉球などを細部まで再現した造型は、見る者を驚嘆させる。

 もともと同社では、2017年1月から、「シロクマ」を骨の位置から脂肪の厚み、歯茎に至るまで細密に再現した実物大のアート作品を販売。代表の岡部淳也(Junya Okabe)さんがショーウィンドーに飾られた剥製を目にし、自分たちの特殊造型技術で、動物を殺傷せずに本物そっくりのシロクマを作ろうと制作を始めたという。

「シロクマを発表したとき、亡くなった犬を再現してほしいと5、6件の問い合わせがあった。愛犬を失い、ペットロスという状況に陥っている飼い主からの要望だった」と制作者の高橋勇也(Yuya Takahashi)さんは話す。その後体制を整え、1月15日からオーダーを開始。価格はサイズによって300万〜450万円と高額だが、3日間ですでに数件の問い合わせがあるという。

 柔らかみのあるシリコン素材を皮膚に用い、アクリル繊維とヤギの毛をあわせた毛材は、部位に合わせて植毛も行う。「生命力を宿らせなければいけない。目や爪の質感、色合いなど、リアルさを追求する。試行錯誤の連続だった」と高橋さんは語る。これまでも動物造型に携わってきたが、今回は犬それぞれの個性まで忠実に再現する必要があった。「目や毛の表情、色や形は個々で必ず違う。例えば、膝の毛が抜けかかっている部分など、その全てを再現した」

 実際にモデル犬を採寸できない場合は、写真から全体のサイズ、目の幅や鼻の位置などを割り出すという。「亡くなった犬に限らず、サプライズのプレゼントや置物など、色々な用途に」と高橋さん。1体の制作期間は、3人体制で約3か月。3月から制作をスタートする。(c)AFPBB News