【1月19日 AFP】献金かごが会衆席に回され、信者たちがポケットや財布から取り出した小銭や小額紙幣を入れる──カトリック教会のミサでおなじみのこの光景に、フランス・パリの教会がハイテク化の新風を吹き込もうとしている。

 パリ16区にあるサンフランソワ・ド・モリトール(Saint-François de Molitor)教会では、21日からデビットカードやクレジットカードで献金ができるようになる。5つの献金かごは見た目は今までと変わらない。だが、非接触型決済端末を備え、2~10ユーロ(約270~1360円)の「デジタル献金」に対応している。

「理由はシンプル。紙幣や硬貨を使う人がどの世代でも減る一方だからだ」と、カトリック教会パリ教区は声明で説明した。

 フランスのカトリック教会では今も毎週の日曜礼拝での献金が主要な資金源だ。2016年には総額6億ユーロ(約816億円)超の寄付金の23%を礼拝献金が占めた。パリ教区の平均的な信者の場合、1年間の献金額は100ユーロ(約1万3600円)ほどだ。

 とはいえ、先端技術に慣れた信者たちに教会が手を差し伸べるのはこのハイテク献金かごが初の試みではない。パリでは8つの教会が2016年10月から「ラケート(La Quete)」というアプリを介した献金を受け付けているほか、21日から新たに8教会がこれに加わる。

 ラケートを開発したオボール・デジタル(Obole Digitale、デジタル献金の意)の共同創業者、スタニスラス・ビヨドロクネ(Stanislas Billot de Lochner)氏によれば、このアプリを導入した教区では献金額が現金のみのときと比べて2~5倍に増えたという。(c)AFP