【1月18日 AFP】中国沖の東シナ海(East China Sea)で石油タンカーが貨物船と衝突・炎上し沈没した事故で、中国国家海洋局(SOA)は17日夜、流出した石油が4方向に帯状に広がり、約101平方キロメートルの範囲に油膜が浮いていると発表した。これはフランスの首都パリの広さに相当する。

 軽質原油13万6000トンを積載したイラン企業所有のタンカー「サンチ(Sanchi)」(全長274メートル、パナマ船籍)は、東シナ海で香港船籍の貨物船「CFクリスタル(CF Crystal)」と衝突。8日間炎上を続けた後、14日に沈没した。イラン人30人、バングラデシュ人2人の乗組員のうち見つかった遺体は3人にとどまっている。

 SOAはウェブサイトで、石油の流出状況を監視しつつ「拡散を食い止めようと試みている。また、海洋生態学的環境への影響を評価するため尽力している」と述べた。

 一方、交通運輸省は17日夜、サンチは水深約115メートルの海底に沈んでいるとして、ロボットを投入して船体の調査に当たる方針を明らかにした。

 サンチに積載されていたコンデンセート(超軽質原油)は流出した場合、一般的な石油流出事故のように海面に油膜が広がらないが、海水からの分離はずっと難しく、海洋生物にとっては極めて有毒だ。今回サンチが沈没した現場付近の海域は、国際環境保護団体「グリーンピース(Greenpeace)」によればケンサキイカの重要な産卵場所で、カニや魚類の越冬地ともなっているという。(c)AFP