【1月18日 AFP】ノルウェー国内を発着する短距離路線の全便を2040年までに電動航空機に完全に切り替える計画を、同国の航空・空港管理公社アビノール(Avinor)が17日、発表した。電動輸送分野で世界をリードするノルウェーの地位を不動のものとしたい考えだ。

 アビノールのダグ・ファルクペテルセン(Dag Falk-Petersen)最高経営責任者(CEO)はAFPに対し、航空輸送の完全電動化で「世界初を目指している」と述べた。

「飛行時間が1時間半以内の全便を完全に電動化できると考えている」とファルクペテルセン氏は説明し、国内全便と隣接するスカンディナビア諸国の首都への便が対象になると指摘した。

 アビノールでは座席19席の小型電気飛行機での商業飛行路線を2025年に開通する計画で準備を進めている。

 ノルウェーは西欧最大の石油・天然ガス産出国だが、一方で電動輸送分野の先駆者でもある。市場シェアでは世界最大の電気自動車(EV)大国であり、2017年の新規登録車の半数以上をEVとハイブリッド車が占めた。電気船に関わるプロジェクトも複数進行中だ。

 政府統計によると、ノルウェーの国内輸送網から排出される温室効果ガスの2.4%を航空輸送が占めている。国際便を含めるとこの割合は倍以上になる。

 空の旅の電動化は航空機の騒音や運用コストも半減できるとファルクペテルセン氏は言う。だが、その段階に到達する前に、アビノールはバイオ燃料や、燃料と電気のハイブリッドシステムといった中間技術を活用していく必要があるという。

 米航空宇宙機器大手ボーイング(Boeing)と欧州航空機大手エアバス(Airbus)も現在、電動航空機の実用化を検討中だ。エアバスは昨年、完全電動の航空機開発プロジェクトを中止し、ハイブリッド機の開発に方針転換して英ロールスロイス(Rolls Royce)、独シーメンス(Siemens)と提携。2020年の初飛行を目指している。一方、ボーイングが出資する米ベンチャー企業ズーナム・エアロ(Zunum Aero)も、2022年までにハイブリッド機を市場投入する計画だ。(c)AFP