米国のパレスチナ難民支援凍結は「残虐行為」 資金難史上最悪
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【1月18日 AFP】国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は17日、最大の支援国である米国が予定していた拠出金のうち6500万ドル(約72億円)の支払い凍結を発表したことを受け、創設以来最悪の資金難に直面していると警鐘を鳴らした。パレスチナの指導者らは、米政府の対応は残酷で露骨に偏向していると非難している。
UNRWAは中東全域でパレスチナ難民とその子孫に教育や医療などのサービスを提供する国連の機関。現在、約500万人が支援の対象となっている。しかし、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相はかねて、UNRWAがイスラエルを敵視しているとして閉鎖を要求していた。
米政府は16日、近く予定していた拠出金1億2500万ドル(約139億円)のうち6500万ドルの支払いを凍結すると発表した。この2週間前、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領がパレスチナへの支援を打ち切ると警告していた。
UNRWAのクリス・グネス(Chris Gunness)報道官はAFPに対し、「米国は6000万ドル(約67億円)を拠出すると表明したが、当面これ以外に資金調達の見込みは全くない」と説明。「支援金の激減により、UNRWAは創設以来最も深刻な資金難に陥っている」と述べた。
パレスチナ高官らは、エルサレムをイスラエルの首都と認定したことに続くトランプ政権の反パレスチナ的対応だと激怒。パレスチナ解放機構(PLO)幹部のハナン・アシュラウィ(Hanan Ashrawi)氏は、「立場の弱い人々」に対する「残虐行為」に相当すると資金拠出の凍結を非難した。
パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)では17日、支払い凍結に抗議するデモが行われ、約500人が参加した。パレスチナと米国の関係は悪化の一途をたどっている。(c)AFP/Joe Dyke