【1月17日 AFP】元チーム医師による性的虐待の被害を告白する選手が米体操界で相次いでいる問題で、国際体操連盟(FIG)の渡辺守成(Morinari Watanabe)会長は16日、被害者の支援団体を設立する考えを明かした。

 渡辺会長は声明で、元チーム医師のラリー・ナサール(Larry Nassar)被告による「性的虐待に耐えてきたという多くの選手の告白に、ショックと悲しみを覚える」と話し、「幼い選手や若い選手のことを考え、選手を保護することが必要不可欠。体操界における暴行とセクシュアルハラスメントは一切許容しない」と続けた。

 さらに渡辺会長は、スポーツ選手をハラスメントや虐待から守るための国際オリンピック委員会(IOC)のツールキットを歓迎し、それを土台に「虐待が起きた場合に相談できる第三者団体」を設立する予定だと話した。

 この問題では、五輪金メダリストのシモーネ・バイルス(Simone Biles、20)もツイッター(Twitter)に声明文を投稿し、「私もラリー・ナサールによる性的虐待を耐えのびた多くの選手の一人です。あの行動は絶対に許せない、不快で暴力的なものでした。しかも相手は、信頼できると言われた人間だったのです」と思いのたけをつづった。

 そして「罪はラリー・ナサールと米体操連盟(USA Gymnastics)その他にあります」と断じ、チームドクターがこれだけ長期間にわたって虐待を続けられた事情を調査してほしいと訴えた。

 54歳のナサール被告は、すでに児童ポルノ所持の罪で禁錮60年を言い渡されているが、別件で16日に再出廷した。被告は30年以上の間に100人を超える女子選手へ性的ないたずらをしたとして訴追されており、有罪になれば終身刑を科される可能性がある。(c)AFP