【1月15日 AFP】フランスの女優カトリーヌ・ドヌーブ(Catherine Deneuve)さんらと共にセクハラを告発する「#MeToo(私も)」運動を批判する公開書簡に署名した同国の作家カトリーヌ・ミエ(Catherine Millet)氏が、一部のフェミニストは「性行為をする前に弁護士と契約を結ぶ」まで満足しないと、同運動に対して新たに激しい非難を展開した。

 ベストセラーとなった自叙伝「カトリーヌ・Mの正直な告白(The Sexual Life of Catherine M)」などで知られるミエ氏は、「#MeToo」運動は女性を「か弱き被害者」とみなしていると主張した。

 ミエ氏はこの運動を「ピューリタニズム(清教徒の思想)のように禁欲的」と批判する公開書簡に署名した仏女性著名人100人のうちの一人。この公開書簡をめぐっては、男性には女性をしつこく口説く自由が認められるべきと主張したことに対しフランス内外のフェミニストらから反発を招いていた。

 12日にフランスの公共ラジオ番組に出演したミエ氏は、「私たちはばかじゃない」と反論。「レイプや性的暴行は犯罪として扱われるべきだが、ごくささいなしぐさやみだらな言葉、不適切な行為を禁じることはできない」と述べた。

 さらにミエ氏は「どうかしている。(男性が女性を)口説くことさえやめさせようとしている」と言明した。

 公開書簡に対しては特に「地下鉄車内で体を触られるのは(一部の女性にとっては)取るに足りないこと」「男性たちがしたことといえば、誰かの膝に触れたり、唇を奪おうとしたりといったことだけなのに、即座に罰せられ、職場から追放されている」と訴えたことにソーシャルメディア上で批判が沸き起こった。

 しかしミエ氏は、多くの女性は「#MeToo」運動が生んだ「全体主義」の風潮に恐怖を感じていると指摘。そうした風潮の中では「誰もが他人を探り合っている」と述べた。

 ミエ氏によれば、映画界の巨匠ロマン・ポランスキー(Roman Polanski)監督に13歳の時にレイプされたと訴えている米国人のサマンサ・ゲイマー(Samantha Geimer)さんを含め、性的被害を受けた複数の女性が公開書簡に署名しているという。(c)AFP/Fiachra GIBBONS