ロシアで再び人種差別、ブラジル人選手を「チョコレート」と表現
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【1月14日 AFP】ロシア・プレミアリーグのスパルタク・モスクワ(Spartak Moscow)が、所属する黒人選手を「チョコレート」と呼び、非難の的になっている。クラブは13日、ドバイで行っている合宿の様子をツイッター(Twitter)に投稿し、その中でブラジル出身のフェルナンド(Fernando Lucas Martins)、ルイス・アドリアーノ(Luiz Adriano)、ペドロ・ロシャ(Pedro Rocha Neves)が快晴の下で練習する動画に「太陽の下で溶けるチョコレートの様子」とコメントを添えた。
投稿したのはロシア代表DFゲオルギ・ジキヤ(Georgi Dzhikiya)で、スパルタクのアカウントにはほかにも何本か動画がアップされているが、このツイートは投降後から1400回以上もリツイートされて批判の渦を巻き起こし、約5時間後に削除された。
問題のツイートから数時間後には、フェルナンドがロシア語で「スパルタクに人種差別はない。みんな友達で家族だ」と語る動画もアップされた。さらにジキヤとブラジル人選手3人が肩を組み、ジキヤが「スパルタクに人種差別はない。僕たちは一つの大きな家族だ」と言うと、アドリアーノがジキヤは「兄弟のようなもの」と続ける動画も投稿された。
2017年に人種差別で欧州サッカー連盟(UEFA)から制裁を科されていたスパルタクの広報は、国営タス通信(TASS)に「今回の残念な言葉を謝罪する。当該の選手に誰かを傷つける意図はなく、単に不幸な冗談だった」とコメントしている。
しかし、英国の反差別団体「Kick It Out」は今回の件について「スパルタク・モスクワの公式SNSアカウントからの投稿で、またしてもロシアにおける黒人差別の問題が浮き彫りになってしまった。W杯ロシア大会(2018 World Cup)までわずか5月という段階で、ロシアとしても、サッカー界全体としても、あらゆる差別の根絶には程遠いことが改めて示された」と批判し、大会開幕まであと5か月とする同国への不安を示した。
スパルタクが人種差別で問題になるのは、今季これが初めてではない。昨年12月にはUEFAユースリーグ(UEFA Youth League)の試合で、チームの主将レオニド・ミロノフ(Leonid Mironov)が対戦相手であるリバプール(Liverpool FC)のリアン・ブリュースター(Rhian Brewster)に人種差別を行ったことが明らかになっている。
リバプールは昨年9月にも、所属するボビー・アディカナイ(Bobby Adekanye)がスパルタクのファンから差別的な野次を浴びたと不満を訴えていて、この件ではUEFAがユースの試合を一部無観客とする処分をスパルタクに科していた。
ロシアでの人種差別については、元ブラジル代表のフッキ(Hulk)がFCゼニト(FC Zenit)時代に「ほぼ毎試合」あると話している。ブラジルから帰化したロコモティフ・モスクワ(Lokomotiv Moscow)のGKで、ロシア代表として2試合に出場しているギリェルメ(Guilherme Alvim Marinato)も、7月のロシア・スーパーカップ(Russian Super Cup)ではスパルタクのファンから人種差別的なチャントを浴びた。
それでもロシアは、W杯本大会ではフーリガニズムと人種差別をなくし、ファンの安全を確保することを約束している。(c)AFP