■「ウィンウィン」の関係

 戦争が動物個体群に対して正味の負の影響を及ぼすことを証明したのは今回の研究が初めてだと、研究チームは主張する。ただ今回の研究では、失われた個体数の実数は算出していないという。

 一部の先行研究では、戦争が自然に対して潜在的なプラス効果を及ぼすことが指摘されていた。人々が戦闘地帯に立ち入らないことや、鉱業などの採取産業が衰退することがその理由だった。

 今回の最新研究では、アフリカの19の国にある自然保護区126か所で、草食動物36種、253の個体群から収集したデータを照合した。

 研究チームは、戦時下における持続的な保護努力と終結後の迅速な対応が、危機に直面している動物個体群を救う助けになる可能性があることを今回のデータは示唆していると説明している。

 紛争終結後は人間社会の復興を優先させることになるだろうが「同一歩調で進めることが可能な場合も多い」とダスキン氏はAFPの取材に語った。

 ダスキン氏は取材に応じた電子メールで、「ここでもまた、ゴロンゴーザが教訓的な一例となる。数百人のモザンビーク人が現在、観光、建設、道路維持管理、自動車修理、財務、人事、科学研究、野生動物管理などを含む国立公園の各部署に雇用されている」と述べている。

「さらに数千の人々が、農業、教育、医療、法律などに関する支援を受けている。こうした支援は、社会の発展と、食べ物を得るために野生動物に依存する程度を軽減させることの両方にとって不可欠だ。これは、紛争終結後の地域における人間と自然にとって、相互に利益をもたらすウィンウィンの関係となる可能性がある」 (c)AFP/Mariëtte Le Roux