ボノボは善人より「いじめっ子」が好き? 研究
このニュースをシェア
【1月8日 AFP】交尾好きでのんき、協調性があることなどから、類人猿における「ヒッピー」と評されることもあるボノボ。だが人類と違い、「いじめっ子」を好む可能性があるとの研究結果がこのほど発表された。
米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に掲載された論文では、動物界ではチンパンジーと並んで遺伝子的にわれわれに最も近いボノボの特性に関する新たな側面が明らかにされた。
論文の共同執筆者である米デューク大学(Duke University)のクリストファー・クルペニヤ(Christopher Krupenye)氏は、コンゴ民主共和国に生息するボノボに対して行われた一連の実験の結果は、研究者たちを「驚かせた」と語った。ボノボは一般的に、チンパンジーよりも攻撃性が低いからだという。
ある実験では、ボノボ24頭に対し、丘を登ろうとするキャラクターが登場する映像を見せた。さらに、それを助けるキャラクター、邪魔するキャラクターを登場させ、その後、それら二つのキャラクターの切り抜きの下に置かれたリンゴの切り身のうちどちらを選ぶか観察した。その結果、ボノボには意地悪なキャラクターのリンゴを選ぶ傾向がみられた。
また別の映像では、ぬいぐるみを落とした人物とそれを拾って渡そうとした人物、横からそれをひったくった人物が登場したが、ここでもボノボは素行の悪い人物からリンゴを受け取ろうとする傾向があった。
研究チームは、ボノボにとって、粗暴な行為は社会的な地位や優位性の証しと受け止められている可能性があるとし、意地の悪い者を見方につけることは有益であるとの理由でこうしたキャラクターを好んでいる可能性があると指摘。強固な同盟関係を築くことで、餌や交配相手を見つけやすくなり、また自身がいじめの対象となるリスクも減らすことができると述べている。(c)AFP