【1月7日 AFP】フランス南部トゥールーズ(Toulouse)の小児病院で5日、重い病状にあった生後2か月の赤ちゃんが父親に連れ去られる事件があったが、病院が緊急に発見協力を呼びかけた結果、赤ちゃんは翌日に無事保護された。複数の関係者が明らかにした。

 ティジオ(Tizio)という名前のこの赤ちゃんは5日夜、小児病院で病気の治療を受け経管栄養と点滴の管につながれていたところを父親に連れ去られた。これを受けて子どもの誘拐事件発生を知らせる緊急警報が発令され、関係筋によるとティジオちゃんは6日午後にトゥールーズから車で2時間ほどの距離にあるベルケール(Belcaire)で発見された。病院が父親の車のナンバーを公開して情報提供を呼び掛けていたことから、このナンバープレートが付いた車に非番の警官が気付いたことが決め手となった。ティジオちゃんの容体は安定しているという。

 トゥールーズ検察当局によると、ティジオちゃんの父親は33歳の無職の男。自宅で兄とともに身柄を拘束されたという。男はティジオちゃんの母親とは別れた後も良好な関係にあったようで、入院中のティジオちゃんを毎日見舞っていた。このため関係筋はティジオちゃんを連れ去った父親の行動は「不可解だ」と評した。検察官も男について「息子の面倒をよくみる愛情深い父親だ」と語っている。

 フランスの緊急誘拐警報は、米テキサス(Texas)州で当時9歳だった女児が誘拐・殺害された事件を機に1996年に整備された「アンバーアラート(AMBER Alert)」制度を参考に2006年に導入されたもの。発令された回数は20回以上。誘拐された子どもたちはみな無事保護されており、2人を除いて全員が短時間で発見されている。(c)AFP/Remy ZAKA