【1月6日 AFP】反政府デモで20人以上が死亡したイラン情勢をめぐり国連安全保障理事会(UN Security Council)は5日、緊急会合を開いた。会合で米国とロシアの主張は真っ向から対立した。

 イランでは昨年12月28日以降、経済的苦境を訴えるデモが政府全体に対するデモに発展し21人が死亡、多数の逮捕者が出た。当局が暴力的事態を抑え込もうとする中、首都テヘラン周辺では5日、政府支持派が3日連続となるデモを行った。

 こうした中、米国のニッキー・ヘイリー(Nikki Haley)国連大使は、シリアを例に挙げてイランの騒乱は本格的な紛争に発展する恐れがあるとして、国連安保理の緊急会合開催を要請していた。

 これに対しロシアは、イラン国内のデモは国際社会の平和と安全には脅威にはならないと主張してこの問題を安保理で協議することに反対したが、緊急会合の開催阻止には踏み込まなかった。

 緊急会合でロシアは、米国の主張が正しいとすれば2014年に米国ミズーリ州ファーガソン(Ferguson)で黒人青年が白人警官に射殺されて大規模な抗議運動に発展したときや、「オキュパイ・ウォールストリート(Occupy Wall Street、ウォール街を占拠せよ)」運動を米当局が取り締まったときも安保理で協議すべきだったと反論した。

 中国はイランへの内政干渉だと主張し、エチオピア、クウェート、スウェーデンは態度を保留した。英国とフランスは、イランはデモ参加者の権利を尊重しなければならないと繰り返したものの、フランスのフランソワ・デラットル(Francois Delattre)国連大使は「ここ数日間の出来事は国際社会の平和と安全に対する脅威にはならない」と述べた。

 一方、イランのゴラムアリ・ホシュルー(Gholamali Khoshroo)国連大使は、緊急会合は「茶番」「時間の無駄」だと非難し、国連安保理はイスラエルとパレスチナの紛争やイエメンの内戦に注力すべきだと主張した。(c)AFP/Carole LANDRY