人民服ではなくスマートなスーツ…金正恩氏の服装一新に識者ら注目
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【1月2日 AFP】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長が1日の新年の辞の発表に際し、スマートなグレーのスーツで臨んだことについて、北朝鮮問題の専門家らは、2018年における外交の一新と関連しているのではないかと分析している。
金委員長は毎年恒例の演説で、米国に対しては「核のボタン」が机上にあると警告した一方、韓国に対しては協議の用意があると示唆し、平昌冬季五輪に代表団を派遣する可能性にも言及して、融和的な姿勢を見せた。
態度の軟化に加え、おなじみの人民服とは明らかに異なる、驚くほど粋な西洋風のスーツとそれに合わせたグレーのネクタイという装いを目にしたアナリストらは、この予想外のスタイル変更が示唆する内容の読み解きを試みている。
韓国のソウルにある北韓大学院大学(University of North Korean Studies)の梁茂進(ヤン・ムジン、Yang Moo-Jin)教授はAFPの取材に対し、「金正恩氏のシルバーの西洋式スーツとべっ甲製の眼鏡姿、さらに祖父と父のバッジを着用していないという事実は、自信と安定を表している。金氏が状況を制御していることを示唆する」と述べた。
米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は、金委員長がイタリア高級ブランドの「『アルマーニ(Armani)』を着た銀行員」のように見えたとする釜山大学(Pusan National University)のロバート・ケリー(Robert Kelly)教授の話として、「金氏は北朝鮮を、よりモダンで世間通な国に見せようとしているという臆測が多々出ている」という意見を引用した。
また韓国政府が資金提供している韓国統一研究院(KINU)は、北朝鮮は「イメージづくりのためなら何でもする」という姿勢の表れではないかと指摘。「以前の黒っぽい人民服から、よりソフトな色合いのグレーの西洋式スーツへの変化は、演説でも強調されていた平和のイメージを打ち出し、核保有国という地位の確立を受けて落ち着いた精神状態を反映させることを狙ったものと考えられる」という見方を示した。(c)AFP