【1月27日 AFP】ガーナの首都アクラ(Accra)にある世界最大規模の電子機器廃棄場で、ジョセフ・アウワダルコ(Joseph Awuah-Darko)さん(21)は椅子に座り、黒ずんだ地面の上で燃えるポリスチレンと絶縁ケーブルを見つめている。

 アクラに広がるアグボグブロシー(Agbogbloshie)廃棄場に鼻を突く臭いの煙がもうもうと立ち込める中、英国生まれのガーナ人、アウワダルコさんは辺りを見渡しながら、廃棄場は生き残るための手段であると同時に、ディストピア(暗黒郷)でもあると話す。

 アクラから車で1時間ほどのアシェシ大学(Ashesi University)に通うアウワダルコさんは今年1月、大学の仲間とともに、非営利事業アグボグブロシャイン(Agbogblo.Shine)を立ち上げた。廃棄場の労働者に廃棄物から高級家具を作り出すことを奨励する取り組みだ。

 廃棄場の労働者たちはみな、携帯電話やコンピューター、テレビ、プラスチックなど、世界中からガーナに持ち込まれた時代遅れでお払い箱となった機器を燃やすことで、有害な煙にさらされるというリスクを冒している。これら現代の消費文化の残骸を燃やした後、銅などの金属を回収して売るのだ。

 アグボグブロシャインでは、電子廃棄物を家具へと「アップサイクル(付加価値リサイクル)」するとともに、廃棄場の若い労働者たちに家具づくりのノウハウを教えている。

 約20人の若者のリーダー、モハメド・アブドゥル・ラヒム(Mohamed Abdul Rahim)さん(25)は、2008年からアグボグブロシーで働いている。ガーナ北部出身のラヒムさんは1日12時間、週6日働く。ここの労働者の平均的な稼ぎは1日当たりわずか20セディ(約500円)ほどだ。

 この仕事が健康に悪いことはわかっているが、他に選択肢がない。だがラヒムさんは、アウワダルコさんの取り組みが何かしらの助けになると楽観している。「熱や煙がつらい。もし良い仕事があるならばここを辞めて行きます」。有毒ガスで肺を、重い荷物で腰を痛めているラヒムさんの稼ぎは母親、妻、そして3人の子どもを支えている。