【12月28日 AFP】廃虚の城をクラウドファンディングでよみがえらせよう――。フランスの団体などがこのほど、荒れ果てた19世紀の城を買い取って修復しようとクラウドファンディングで資金を募ったところ、世界各地から160万ユーロ(約2億1500万円)が集まった。「城主」となった115か国の出資者およそ2万5000人には修復への参加も呼び掛けるといい、来年以降作業に取り掛かる計画だ。

 プロジェクトが進められているのは、仏西部レトワムーティエ(Les Trois-Moutiers)村にあるラモットシャンドゥニエ城(Chateau de La Mothe-Chandeniers)。堀に囲まれ小塔のあるこの城は、草木が屋根や窓を突き抜けて生い茂るほど荒廃しており、業者によって取り壊され再開発される恐れが強まっていた。

 そうしたなか、クラウドファンディングサイトの「ダルタニャン(Dartagnans.fr)」と地元団体アドプト・アン・シャトー(Adopte un Chateau)が協力して資金集めを開始。これまでに、城を買い取って復旧するのに十分な額が集まった。

 ダルタニャンの責任者ロマン・ドゥローム(Romain Delaume)氏は26日、AFPの取材に「(クラウドファンディングで)集まった金額としても、提供した人の数としてもフランスで過去最高だ。おそらく欧州全体でもそうだろう」と述べた。

 ダルタニャンは、51ユーロ(約6870円)で城の株主になれる機会を提供。うち50ユーロ(約6735円)は修復工事、1ユーロ(約135円)は城を管理する会社の株に充てられるとしている。

 現在のラモットシャンドゥニエ城は19世紀にさかのぼるが、敷地には遅くとも13世紀から城があった。敷地内の城は1789年のフランス革命時に略奪され、1932年には火災で激しく傷んだ。その後、1982年に地元の現所有者(82)の手に渡ったが、保守管理は行っていなかったという。

 デローム氏によると、城主たちを「2018年のなるべく早い時期に」城に招待し、彼らに修復作業への参加も要請する方針。

 同氏は、城全体を以前と全く同じ姿に戻すには推定で少なくとも300万ユーロ(約4億円)かかるため、補修にとどまるとも説明した。それでも今後、新たな資金集めをする可能性は排除していない。(c)AFP