【12月27日 AFP】(更新)米国は26日、北朝鮮の弾道ミサイル開発で中心的役割を担う高位当局者2人に制裁を科した。米財務省が発表した。

 米財務省は声明で「(北朝鮮を)孤立させ、朝鮮半島(Korean Peninsula)の完全非核化を達成するべく最大限の圧力をかける作戦の一環として、財務省は北朝鮮の弾道ミサイル計画の指導者らに照準を当てている」と述べた。

 新たな制裁対象となったのは、国連安全保障理事会(UN Security Council)が22日に採択した制裁決議でも対象となった金正植(キム・ジョンシク、Kim Jong Sik)と李炳哲(リ・ビョンチョル、Ri Pyong Chol)の2氏。米財務省によると、金氏は液体燃料から固体燃料への移行を含む弾道ミサイル開発で中心的役割を果たした人物、李氏は大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発に関わる中心的人物とされる。

 今回の新制裁により、米財務省外国資産管理局(OFAC)の制裁対象とされた個人らが米管轄内で所有する全資産が凍結されるほか、米国民による制裁対象人物との商取引も全面的に禁止される。

 孤立を深めながら核武装を進めている北朝鮮は、核やICBMの実験を繰り返しており、直近では先月28日にもミサイル実験を断行。米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長による中傷合戦も勃発し、緊張が高まっている。

 26日にはロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相と米国のレックス・ティラーソン(Rex Tillerson)国務長官が電話会談し、北朝鮮問題について協議。

 ロシア外務省の声明によると、会談でラブロフ外相は、米国の北朝鮮に対する「攻撃的な物言い」が原因で、朝鮮半島周辺の緊張悪化を招くことは容認できないという姿勢を改めて強調。一方で両者は、制裁から交渉プロセスへ可及的速やかに移る必要があるということを再確認したという。(c)AFP