【12月22日 AFP】プレッシャーの厳しい過酷な競争社会で知られる韓国は、世界の中でも自殺率の高い国の一つだ。その中でもいっそう激しいストレスにさらされるショービジネス界のスーパースターが今週、死を選んだ。

 Kポップの人気男性アイドルグループ「SHINee(シャイニー)」のメンバーでリードボーカルのキム・ジョンヒョン(Kim Jong-Hyun)さん(27)が18日、ソウルのホテルで自らの命を絶ったというニュースは、世界中のファンに衝撃を与えた。

 5人編成の「SHINee」はこの10年間アジアを制覇している韓国のポップカルチャー、「韓流」の第一線で活躍してきた。2008年のデビュー以来、アルバムは次々に国内外でチャートの首位に輝き、コンサートチケットは完売するなど名声と富を手中にしていた。

■10代からかかる過酷なプレッシャー

 だが 韓国芸能界の華やかな輝きの底では、健全なイメージを是が非でも常に保つために、熾烈(しれつ)な競争、プライバシーの欠如、インターネット上でのバッシングや世間から受ける容赦ないプレッシャーといった現実がきしんだ音をたてている。

 ジョンヒョンさんのような若手スターの多くは通常、10代半ばかそれよりも早い時期にエージェントに選ばれると、歌やダンスの過酷な訓練を受け、常に付きまとう激しい選抜を生き抜いていく。休暇はほとんどなく、多くはエージェントが用意した寮のようなアパートにバンドのメンバーと共に住み、プライバシーは手に入らないぜいたくとなる。バンドの音楽スタイルから食事の内容、携帯電話の使用に至るまですべてをエージェントに指示され、異性との交際はたいてい禁止だ。

 人気Kポップ歌手のキム・セジョン(Kim Se-Jeong)さんは今年初めのテレビインタビューで、4日間で合計1時間しか睡眠時間がなかったことがあると告白した。「ステージとテレビ番組の出演、コマーシャルの撮影が一度に同時にあったのです」