【12月21日 AFP】日々の食事に葉物野菜を取り入れることで、加齢による記憶力低下を抑制し、脳をより若々しく保てるとする研究論文が20日、発表された。

 米国神経学会(American Academy of Neurology)の医学誌「ニューロロジー(Neurology)」に掲載された論文によると、野菜を食べていた高齢者と食べていなかった高齢者の差は歴然としており、年齢でみるとおよそ11歳分の開きがあったという。

 論文を発表した米シカゴ・ラッシュ大学医療センター(Rush University Medical Center)の科学者によると、研究は被験者を対象としたアンケートに基づいているため因果関係を証明するまでには至らないものの、健康な食生活と健全な老化との関連性を示す新たな証拠を提供するものだという。

 研究では、平均年齢81歳の高齢者960人を対象に、平均約5年間の追跡調査を実施。調査開始時に認知症だった対象者は一人もいなかった。

 対象者には、ホウレンソウやケール、コラードグリーン、レタスといった特定の食物をどのくらいの頻度で食べているかを問うアンケートを実施し、また思考力や記憶力に関するテストを毎年受けてもらった。摂取量の目安となる分量は、調理後およそ半カップの葉物野菜を1単位(皿)とした。

 調査の結果、野菜を最も食べていたグループの摂取量は、1日平均1.3皿だった。一方、摂取量が最も少なかったグループでは、1日平均0.1皿だった。

 また、野菜を毎日少なくとも1皿食べていた人では、全く、あるいはめったに食べなかった人と比べて、記憶力や思考力のテストでの成績が緩やかに下降する様子が見て取れた。

 こうした傾向は、喫煙や高血圧、肥満、学歴などの他の要素を考慮に入れた後でも変化しなかったという。

 今回の研究には参加していないが、英イングランド・エクセター大学(University of Exeter)のデービッド・ルウェリン(David Llewellyn)上級主任研究員(臨床疫学)は、「この観察結果は、地中海式ダイエットを実践している人々に認知症リスクが低い可能性があることを示唆する数多くの証拠とも整合する」と指摘している。

 地中海式ダイエットでは、植物由来の食物を摂取する一方、赤身肉を制限するというのが主な特徴の一つだ。

 また、今回の研究について英ロンドンの慈善団体「アルツハイマー協会(Alzheimer’s Society)」の研究員は、「認知症を直接調べてはいないので、症状の抑制や予防に効果があるかは分からない」としたが、「しかしビタミンKが豊富な食物を毎日1~2皿分食べていた高齢者は、食べていなかった高齢者に比べて記憶力テストの成績が良い」ことを指摘している。(c)AFP