「マネーボール」が英サッカー界に上陸、元敏腕GMらが2部クラブ買収
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【12月20日 AFP】米メジャーリーグ(MLB)へ統計学に基づいた野球を本格的に持ち込んだ最初の人物として知られ、映画や書籍の『マネーボール(Moneyball)』の主人公でもある米大リーグ(MLB)、オークランド・アスレチックス(Oakland Athletics)の元ゼネラルマネジャー(GM)ビリー・ビーン(Billy Beane)氏が、他数人の投資家とともに、サッカーイングランド・チャンピオンシップ(2部)のバーンズリー(Barnsley)を買収した。19日にクラブが発表した。
ビーン氏は、中国の李建(Chien Lee)氏を中心とした投資家からなるグループの一員として、長年バーンズリーのオーナーを務めたパトリック・クライン(Patrick Cryne)氏から経営を引き継いだ。クライン氏は9月、末期がんを公表していた。
バーンズリーは声明で「当クラブはイングリッシュ・フットボールリーグ(EFL)の承認を得て、過半数株主の変更を行いました。今後はこの新株主たちが、バーンズリーFCの理事会を構成します」と発表した。1997-98シーズンに一度だけプレミアリーグ(1部)を戦ったことのあるバーンズリーだが、現在は2部で24チーム中20位に低迷している。
ビーン氏はアスレチックスのGMを務めた当時、統計学的なデータを分析する手法、通称「セイバーメトリクス」を使って日の目を見ずにいた選手を発掘する手法で名声を高め、その物語はブラッド・ピット(Brad Pitt)主演の2011年の映画『マネーボール』でも語られている。
今回のグループには、ビーン氏と李建氏の他に、ポール・コンウェイ(Paul Conway)氏とグレース・ハン(Grace Hung)氏という、メディア関連企業パシフィック・メディア・グループ(Pacific Media Group)の共同創業者2人も加わっている。
李建氏は、投資会社ニューシティ・キャピタル(NewCity Capital)の創業者にして会長。2016年にはフランス・リーグ1のニース(OGC Nice)の株式80パーセントを取得し、コンウェイ氏とともにクラブの理事を務めている。バーンズリーでも、この李建氏とコンウェイ氏が共同会長に就任する。
コンウェイ氏は「ニースへ投資した時と同様、バーンズリーFCのユースとトップチーム、商業活動、ファンの体験をいっそう強化していければと考えています。バーンズリーにはイングランド有数の熱心なファンがいますし、近々そのサポーターの皆さんとお会いできるのを楽しみにしています」と話した。
中国系企業に買収されるチャンピオンシップリーグのクラブは、アストン・ビラ(Aston Villa)、バーミンガム・シティ(Birmingham City)、リーグ首位のウォルバーハンプトン・ワンダラーズ(Wolverhampton Wanderers)という、ミッドランズの3クラブに続いてバーンズリーが4クラブ目。
1部に当たるプレミアリーグでは、サウサンプトン(Southampton FC)やこちらも中部のウェストブロムウィッチ・アルビオン(West Bromwich Albion、WBA)を中国企業が所有し、またチャイナ・メディア・キャピタル(CMC)らのグループがマンチェスター・シティ(Manchester City)の株式13パーセントを保有している。(c)AFP