【1月4日 AFP】携帯電話が普及した影響で絶滅の危機に直面しているロンドンを象徴する赤い電話ボックスが、独創的な改装を施されてさまざまな新しい用途に使われている。

「いい匂いだね」。ロンドン中心部にある電話ボックスから漂う温かいシチューの匂いに、通りかかった人が言う。連日、会社勤めの人たちがブルームズベリースクエア(Bloomsbury Square)にやって来ては改装された電話ボックスで昼食を買っていく。この電話ボックスには小さな冷蔵庫と皿を収納する棚が備え付けられている。

 これは新たな命を吹き込まれた何千もの電話ボックスの一例だ。

 電話ボックスの多くは放棄されたり、いたずらをされたり、おしっこをかけられたりするが、図書室やアートギャラリー、案内所に生まれ変わったものもあれば、カフェや帽子店になったり、さらには自動体外式除細動器(AED)が備え付けられたものもある。

 英国全体の電話ボックスは2002年の約9万2000か所をピークに急速に減少し現在は約4万2000か所。そのうち観光客に人気のクラシックな赤い電話ボックスは7000か所だ。英通信大手BTグループによると電話ボックスの大半は赤字で、同社は2022年までにさらに2万か所削減する計画を立てている。

 現金自動預払機(ATM)を設置したものや、広告料で費用を賄いユーザーは無料で利用できる超高速無線通信Wi-Fi(ワイファイ)スポットに改造中のものもある。BTは電気自動車の充電ステーションとして使えないかという検討も始めた。