ロンドンの「猫切り裂き魔」 2年で400匹が犠牲に いまだ逮捕できず
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【12月17日 AFP】トニー・ジェンキンス(Tony Jenkins)氏にとって、脚を切断された猫の死骸を調べるのはつらい儀式になっている。ロンドン南部で次々と猫を殺している何者かが新たに犯行に及んだのだと彼は言う。
ジェンキンス氏は動物の救出やリハビリテーションに携わっている愛護団体「SNARL」の共同創設者だ。不審死した猫の死骸を確かめるため動物の手術室にいる彼を見ても意外に思う人は誰もいない。SNARLは過去2年で、殺された疑いがある400匹余りの動物を特定した。大半は猫だったがキツネやウサギもいた。
ジェンキンス氏はテーブルに袋が置かれている狭い検査室に入った。手袋を両手にはめて袋を開け、脚先だけ白い黒猫の死骸を取り出すと、隣に立っていた獣医師の助手が後ずさりした。死骸は頭と尻尾が切断され、腹部も切り裂かれていた。犯人に外科手術のスキルがあることを物語る特徴だ。過去に同様のものを見た経験があるジェンキンス氏でさえ嫌悪感を隠せない。
ジェンキンス氏は「殺されたのは明らかだ」と言った。「頭と尻尾を切断する典型的な殺し方だ。両方ともすっぱり切り落とし、腹部も傷つけている」「他の地域でもまったく同じやり方で猫が殺されている」とAFPに説明した。
猫殺し犯の追跡が始まったのは2015年9月。一部地域で猫の不審死が相次いだことがソーシャルメディアへの投稿で明らかになり、ジェンキンス氏とSNARLのもう一人の共同創設者であるブーディカ・ライジング(Boudicca Rising)氏は調査に着手した。獣医師やペットの飼い主、地域住民を訪問して情報を集め、犯行の場所と時間をまとめた。
2人はこれをロンドン警視庁(Scotland Yard)に提出し、これを受けて警視庁は独自に捜査に乗り出した。英国最大の動物愛護団体、王立動物虐待防止協会(RSPCA)も調査を開始した。