【12月16日 AFP】ドイツの草分け的存在で、かつては欧州最大規模のアダルトショップチェーンだった「ベアテ・ウーゼ（Beate Uhse）」が15日、破産申請をしたと発表した。第2次世界大戦（World War II）時の女性パイロットが築き上げたアダルト帝国も、性風俗産業の電子商取引化に対応しきれなかった。

　破産申請は「ドイツの性の第一人者」とも呼ばれた創業者ベアテ・ウーゼ氏の波瀾（はらん）万丈の物語の最終章となった。ウーゼ氏のエロチシズムに対する臆することのない姿勢は戦後ドイツの性生活を一変させた。

　だが、創業者のベアテ・ウーゼ氏が2001年に81歳で死去して以降、同社の経営状況は悪化。2019年に期日を迎える負債3000万ユーロ（約40億円）の返済の目処が立たず、事業を継続することができなくなったという。

　ウーゼ氏は1946年、女性のための妊娠を避ける方法についてまとめた書籍「ドキュメントX（Document X）」を作り上げ、性産業に進出した。

　戦後ドイツにおいて、ウーゼ氏のアドバイスに対する需要は高く、同氏の書籍は数万部も売れた。書籍の通信販売で成功したウーゼ氏は、1962年に北部フレンスブルク（Flensburg）に最初の店舗をオープンした。

「Institute of Marital Hygiene（結婚生活の衛生研究所）」と名付けられたその店舗では、女性用の下着や避妊薬などが販売され、世界初のアダルトショップとなった。

　ウーゼ氏の活動はしばしば戦後ドイツの倫理観に逆行し、多数の訴訟も起こされた。それでもウーゼ氏はアダルトグッズの販売について率直で隠し立てしない態度を貫いた。(c)AFP/Madeleine SCHWARTZ