アウシュビッツ所長の車を奪って脱出、ホロコースト生存者の男性死去、98歳 ポーランド
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【12月16日 AFP】ホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)を生き延びたポーランド人男性、カジミエシュ・ピエホフスキ(Kazimierz Piechowski)さんが15日、北部の港湾都市グダニスク(Gdansk)で死去した。98歳だった。国家記銘院(INR)が明らかにした。
ピエホフスキさんは第2次世界大戦(World War II)中の1940年、ナチス・ドイツ(Nazi)のアウシュビッツ・ビルケナウ(Auschwitz-Birkenau)強制収容所に送られた。だがその2年後、ナチス親衛隊(SS)隊員の制服や銃を盗み、さらに同収容所の所長だったルドルフ・ヘス(Rudolf Hoess)の愛車「シュタイアー220(Steyr 220)」を奪って、他3人の被収容者とともに脱出した。
ピエホフスキさんたちは脱出の際にアウシュビッツの運営状況を記録した文書を持ち出し、亡命中だったポーランドのレジスタンスに、ナチスによる残虐行為の詳細な証拠をもたらした。アウシュビッツ脱出後はポーランドのレジスタンスに加わり、戦後は、共産政権により10年の禁錮刑を言い渡された。
ピエホフスキさんは2012年、INRに対し「逃げた後に私たちがヘスに『車を使わせてくれてありがとう』と書いた葉書を送ったと話をしている人もいるが、実際にはそんなことはしなかった」と語っていた。(c)AFP