【12月24日 AFP】シリア北部にあるリハビリ施設では、若者たちがチェス盤を囲んだりタバコを吸ったりしていた。イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の戦闘員だった当時は、厳しく禁止されていた行為だ。

 反体制派が支配するアレッポ県マレア(Marea)を拠点とする「Syrian Centre for Countering Extremist Ideology(シリア過激思想矯正センター)」にはシリアはもちろん、中東やさらには欧州出身の元IS戦闘員約100人が入所している。

「以前はイスラム国家の樹立を夢見ていた。でも今は、自分たちがかつて信じていたものの何が間違っていたのかを明らかにする講義を受けてる」と、ムハンマド・ハッジ・アフマド(Mohammad Haj Ahmad)さん(23)は話した。

 アフマドさんは、シリア北部ラッカ(Raqa)の出身。かつてシリアとイラクにまたがる広範囲を支配下に置き「カリフ制国家」の樹立を一方的に宣言したが、今はほぼ崩壊状態にあるISが首都に位置付けていた都市だ。

 アフマドさんは2014年にISに参加し、ラッカ近郊タブカ(Tabqa)の空港での最も激しい戦闘の一つにも加わった。この戦闘では200人を超える軍兵士がISに「処刑」された。

 AFPの取材に対しアフマドさんは、「『イスラム教の教えを厳格に守っているのは自分たちだけで、他はすべて異端者や背教者だ』とする聖戦(ジハード)についてのスローガンに完全に納得していた」、「父は、私が自爆するよう説得されるのではないかと恐れていた」と語った。

 アフマドさんや仲間の元IS戦闘員たちは現在、最終的には社会復帰を目指し、過激な思想や慣習を拭い去るための集中リハビリ講義を受けている。