【12月14日 AFP】2016年に記録された、世界平均気温の過去最高値更新、アジアの猛暑、米アラスカ州沖の海水温上昇などの異常事象の原因は、化石燃料の燃焼といった人的活動に起因する地球温暖化の進行以外に説明がつかないとする研究結果が13日、発表された。

 査読を経て発表された「Explaining Extreme Events in 2016 from a Climate Perspective(気候の観点から2016年の異常事象を説明する)」と題された報告書によると、国際科学者チームが発表した今回の研究結果では、気候変動がなければ発生しなかったと考えられる異常な天候事象が初めて特定されたという。

 人為的な気候変動の関与についてはこれまで、特定の洪水、干ばつ、嵐、熱波などの発生確率を上昇させると考えられていたが、唯一の発生原因ではないと考えられてきた。

 今回の報告書が掲載された米気象学会紀要(Bulletin of the American Meteorological Society)のジェフ・ローゼンフェルド(Jeff Rosenfeld)編集長は「この報告書は根本的な変革を示すものだ」と指摘する。

「科学者らの間では長年、人類が異常気象の発生リスクを変化させていることは知られていた。だが、人為的影響がなければそもそも起こり得なかった異常事象が多数特定されたことで、人類が新たな気候を作り出したことによって全く新しい天候を経験するに至っていることを浮き彫りにした」

 報告書には5つの大陸と2つの海にわたる異常気象の分析結果27件が取り上げられた。全て査読を経たものだという。

 報告書をまとめるに当たり、18か国から計116人の科学者が参加。異常事象二十数件における気候変動の関与を特定するため、過去の観測データとモデルによるシミュレーションを組み合わせて分析した。