【12月14日 AFP】ツール・ド・フランス(Tour de France)通算4度の優勝を誇るクリス・フルーム(Chris Froome、英国)は13日、優勝を飾った今季のブエルタ・ア・エスパーニャ(Vuelta a Espana 2017)期間中の「不利な」薬物検査の結果が通知されたことを受け、何ら規則を破ってはいないと語った。

 国際自転車競技連合(UCI)と所属するチームスカイ(Team Sky)は同日、ブエルタ開催中にフルームの体内から許容量の2倍のぜんそく薬「サルブタモール(Salbutamol)」が検出されたと発表した。

 同日のインタビューでフルームは英BBCに対し、「人々に大きなショックを与えてしまったと思う」とすると、「いかなる規則も破ってはいないことは確かだ」と語った。

 UCIによると、9月7日に行われた反ドーピング検査では、適用措置(Therapeutic Use Exemption、TUE)が必要ではない許容量を超えるサルブタモールが検出されたという。

 32歳のフルームはBBCに対し、ぜんそくの症状がひどくなったため、チームドクターの指示を受けて単純に投薬量を増やしただけだとしている。

「症状を抑えながら、ぜんそく持ちでレースに臨み、プロの自転車選手を10年やっている。規則について理解しているし、許容量も把握している。そして、その制限を超えたことはこれまでに一度も無い」

 UCIはフルームに詳細な情報提供を求めているものの、世界反ドーピング機関(WADA)のガイドラインに従い出場停止などの処分は科していない。

 フルームはまた、「吸入器を使用するときは手順や回数がはっきり決まっている。真相をはっきりさせるためにそういったすべての情報をUCIには提供した」とした上で、UCIが検査結果を丁寧に検査することは、「まったくもって正しい」と付け加えた。

 2012年のロンドン五輪と昨年のリオデジャネイロ五輪の個人タイムトライアルで銅メダルを手にしているフルームは、9月20日に検査結果の通知を受け、それ以降はレースに出場していない。しかしながら最近になって、来シーズンはグランツール(三大ツール)のうち、ツール・ド・フランス(2018 Tour de France)と第101回ジロ・デ・イタリア(2018 Giro d'Italia)の優勝を目指すと明かしていた。

 ブエルタを主催するウニプブリク(Unipublic)社は、フルームに対して否定的な姿勢をみせることなく、UCIが独自の調査を終えてから、王者に対して何らかの措置を講じるかについて判断するとしている。

 2008年には、アレッサンドロ・ペタッキ(Alessandro Petacchi、イタリア)氏がTUEを得ていながらもサルブタモールの許容量を超えたため、前年のジロ・デ・イタリアのステージ5勝を取り消され、1年の出場停止処分を受けている。(c)AFP