【12月12日 AFP】全米ゴルフ協会(USGA)とロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフ・クラブ(R&A)は11日、女子ゴルフの昨季メジャー第1戦、ANAインスピレーション(ANA Inspiration 2017)でレクシー・トンプソン(Alexis "Lexi" Thompson、米国)がほぼ確実視されていた優勝を逃したような事態の再発を防ぐため、今後はテレビ視聴者からの指摘で判定を下すことはしないと発表した。

 ビデオ判定に関する新たな原案を作成する作業部会を立ち上げていたUSGAとR&Aの共同声明によると、最も重要なルール変更として、反則の可能性に関するテレビ視聴者からの「指摘」について、今後は受け付けないことが決まった。来年1月からは、テレビ映像を監視する個人もしくはグループの審判員が配置され、ルール違反の可能性がないか確認することになるという。

 今回の決定は、今年4月にカリフォルニア州で開催されたANAインスピレーションで噴出した騒動を受けての動きとなっている。トンプソンは同大会の最終日、13番まで3打差のトップに立っていたものの、テレビで第3ラウンドのリプレー映像を見た視聴者から正しくない位置にボールを置き直したと指摘されて2罰打、さらに正確でないスコアボードに署名したとして2罰打が科され、合計4罰打を言い渡された。

 最終的にはプレーオフで敗れて涙を流したトンプソンは、今回のルール変更を歓迎し、「これまでゴルフの試合で幾度も直面してきた不幸な事態への取り組みとして、積極的にルール変更に踏み切ったUSGAとR&Aに拍手を送る」とすると、「私としても、これからは誰も自分のような結果にならなくて済むことに感謝している」と語った。

 トンプソンの事例が引き金となり、タイガー・ウッズ(Tiger Woods、米国)が「自宅にいる視聴者が、ストライプを着た審判になるべきではない」とツイートするなど、テレビ視聴者の指摘が判定に影響を及ぼすことについては、他のプロゴルファーからも激しい批判の声が出ていた。

 また、今回の新たなルール変更では、正確でないスコアにサインした際に反則に気づいていなかったことが示された場合、選手が2罰打を科されることはなくなった。(c)AFP