朝鮮戦争で孤児を保護した元トルコ兵死去、91歳 大ヒット映画のモデル
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【12月10日 AFP】朝鮮戦争(Korean War)にトルコから兵士として派遣され、米アカデミー賞(Academy Awards)外国語映画賞の今年のトルコからの出品作に選ばれたヒット映画『Ayla』(アイラ)のモデルになったスレイマン・ディルビルリー(Suleyman Dilbirligi)氏が多臓器不全のため死去した。91歳だった。半国営アナトリア(Anadolu)通信が7日、伝えた。
ディルビルリー氏はトルコ軍の一員として朝鮮戦争の国連軍に従軍した。トルコが米国主導の国連軍に参加したことは、第2次世界大戦(World War II)後の世界でトルコが西側諸国と安全保障面で連携を深める上で大きな意義があった。
従軍中にディルビルリー氏は、爆撃で両親を亡くし孤児となった当時5歳のキム・ウンジャ(Kim Eun-ja)さんを救い、トルコに帰国するまで保護した。ディルビルリー氏はキムさんに「アイラ(Ayla)」というトルコ語の名前を付けた。その後2人の連絡は途絶えていたものの、2010年にドキュメンタリー制作者の支援で再会した。
この実話を基にした映画『Ayla』は公開されると各方面から高く評価された。映画情報サイト「ボックスオフィス・トゥルキエ(Box Office Turkiye)」によると、公開5週間で興行収入は5000万トルコ・リラ(約15億円)に迫り、観客動員数は400万人を超えた。
朝鮮戦争には数千人のトルコ兵が派遣され、約700人が戦死したとみられている。第2次世界大戦で終盤まで中立を維持したトルコは1952年に北大西洋条約機構(NATO)に加盟したが、トルコのNATO加盟の背景には朝鮮戦争でのトルコ兵の戦いぶりが西側諸国に高く評価されたことがあると一般に考えられている。
ディルビルリー氏は先月体調を崩し、イスタンブール市内の病院の集中治療室で治療を受けていた。キムさんは先月トルコ側の当局者に付き添われ、死の床にあるディルビルリー氏と最後の面会を果たした。キムさんに同行したイスタンブール県文化観光局のジョシュクン・イルマズ(Coskun Yilmaz)局長はその際、「キムさんが手を握るとディルビルリー氏は反応しました。それまで何をしても反応しなかったのに。娘同然のキムさんが来たのが分かったのでしょう」と語っていた。(c)AFP