イケア中国「再度のリコールしない」、米国で8人目の死亡事故受け
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【12月9日 CNS】米国とカナダでリコールされたスウェーデンの家具販売大手イケア(IKEA)のマルムシリーズ(MALM)のたんすについて、イケア中国は11月30日、上海(Shanghai)で記者会見を行った。同社の朱昌来(Zhu Changlai)総裁は、「たんすが倒れたのは品質の問題ではないため、中国内でのマルムシリーズのたんすの再度のリコールは行わない。すでに購入した消費者に対しては、壁などに固定することをアドバイスを行い、返品希望者には全額返金するといった方法で対応していく」と話した。また、同シリーズの製品は引き続き生産されるという。
イケアのマルムシリーズの家具をめぐっては2016年、子どもが下敷きになるなどして死亡する事故が相次ぎ、世界中でリコールが実施された。イケア中国も、国家質量監督検験検疫総局と、上海質量監督検験検疫部門で取り調べを受けた。この結果、イケア中国は同年7月、同国内で販売されていたマルムシリーズのたんすのリコールを実施していた。朱総裁によると、06年から現在までに中国国内で200万個のマルムシリーズのたんすが販売され、このうち2万2000個がリコールされたという。
だが17年5月、米国で再度、マルムシリーズの家具による8人目となる子どもの死亡事故が発生し、米国とカナダで再度リコールが実施された。これを受けて、上海市質量技術監督局もイケア中国を再度調査してリコールするよう要請したが、「イケア中国はまだ何の対応もしていない」と同局が批判していた。これに対し、イケア中国は朱総裁による記者会見を開いて対応。「米国、カナダでのリコールは、前回のリコールを受けてのものであり、両地域に限った対応。中国でリコールを行う計画は今のところないが、消費者への対応は引き続き行っている」と説明した。
朱総裁はまた、「イケアのマルムシリーズのたんすは、壁などにきちんと固定して使用すれば安全上、品質上の問題は存在しない。固定されていない75センチ以上の家具に乗れば、倒れてしまう可能性は十分にある。このようなリスクは、すべての家具において存在する。重要なのは、リスクの存在を注意喚起し、安全に使用してもらうことだ」と述べた。
イケア中国では、対象商品を購入済みの消費者に対し、固定部品を無料で提供するか、返品希望の消費者に対して出張受け取りサービスと全額を返金するなどの対応を取っている。また、現在販売中の同シリーズのたんすには固定部品がセットになっており、注意書きや販売員の説明により、壁などにしっかり固定して使用するよう呼びかけている。(c)CNS/JCM/AFPBB News