絶滅危惧種の追跡調査に飼い犬を抜てき、ふん嗅ぎ分けで生態解明 豪
このニュースをシェア
【12月8日 AFP】一般の飼い犬を訓練して、絶滅危惧種の動物のふんを発見させようという取り組みがオーストラリアで進行中だ。ふんからは遺伝情報や何を食べたかが分かるため、絶滅危惧種の動物を傷つけることなく追跡する新手法として注目されている。
メルボルンにあるモナシュ大学(Monash University)の博士過程に在籍するエマ・ベネット(Emma Bennett)氏は、犬の飼い主で環境問題に関心の高い人々からボランティアを募集。ビクトリア(Victoria)州に広がる雨林地帯で、絶滅の危機に陥っている小型有袋類オオフクロネコのふんの追跡調査を行っている。
「ふんにはDNAが含まれているので、個体識別が可能だ」。AFPの取材に応じたベネット氏は6日、説明した。「どこで何を食べたかも分かる」
プロジェクトに参加している飼い犬たちは、ボーダーコリーやジャーマンシェパードなど犬種はばらばら。だが、訓練では50~70%という「極めて高い」精度で、しかも素早くふんを嗅ぎ分けられることが分かった。専門的に訓練した犬に劣らない効率の良さだとベネット氏は指摘する。
犬にふんを発見させる方法は、わなを仕掛けて対象の野生動物を捕獲するよりも、対象の野生動物を傷つけたりストレスを与えたりするリスクが少ない。
オオフクロネコは猫に似た小型肉食動物で、体に白斑がある。ベネット氏によると、豪南東部オトウェイ(Otway)の雨林では絶滅したと考えられていたが、2012年に生存が確認された。しかし、生息地は森林開墾やキツネ、猫などにより脅かされている。
ベネット氏は、飼い犬を使った追跡調査は他の方法より安価でできるため、小さな地域団体でも絶滅危惧種の研究が可能になるとして、この研究手法が他の絶滅危惧種の追跡調査でも利用されるようになることを期待している。(c)AFP