【12月6日 AFP】親が子どもの情緒面の健康にほとんど関心を示さないと感じている10代若者は、親が子どものことを誇らしく思い、積極的に関わってくれると考えている若者に比べて、自殺を考える危険性がはるかに高いとの研究結果が5日、発表された。

 米シンシナティ大学(University of Cincinnati)のチームによる今回の研究結果は、米国で10代若者の自殺率が上昇し、親、教育関係者、保健専門家らの間で懸念が高まっている中で発表された。

 最近1か月だけでも、米コロラド州とカリフォルニア州で、それぞれ10歳と13歳の少女が首をつって自殺した。親たちは、学校でのいじめが自殺の一因となったと主張している。

 シンシナティ大で健康増進と教育の博士課程を担当するキース・キング(Keith King)氏は「親たちにいつも聞かれるのは『親ができることは何か』ということだ」と話す。

「子どもたちは誰かが自分についてくれていることを知る必要があるが、残念ながら子どもたちの多くはそれを知らないでいる。それが大きな問題だ」

 キング氏と共同研究者のレベッカ・ビドウレク(Rebecca Vidourek)氏が発表した研究結果では、親の行動と若者の自殺念慮との間の有意な関連性が明らかになった。同氏らの研究は、12歳以上を対象とした2012年の全国調査に基づいているという。

 親の行動による影響が最も大きい年齢グループは、12歳と13歳だった。研究チームによると、この年齢グループの子どもで、親から自分のことを誇らしく思うと言われたことがほとんどまたは一度もないと答えた子どもでは、自殺を考える可能性が5倍近く高いという。

 また、この子どもたちは同年齢グループに比べ、自殺を計画することや実際に自殺を図る恐れも約7倍高かった。

 さらに、12歳と13歳の年齢グループで、親から成績をほめられたり宿題を手伝ってもらったりしたことがほとんどまたは一度もない子どもにも、異常に高い自殺リスクがみられた。

 16歳と17歳の年齢グループでは、親から自分のことを誇らしく思うと言われたことがほとんどまたは一度もない若者は、親が子どもへの誇りを時折または頻繁に言い表していた同年齢と比較し、自殺を考える恐れが約3倍高く、自殺を計画して実際に自殺を図るリスクも4倍近く高かった。