【12月2日 AFP】国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ(Gianni Infantino)会長は1日、2018年のW杯(2018 World Cup)を開催するロシアに暗い影を落としている同国スポーツ界の大規模なドーピング疑惑について、サッカーとは距離を置く問題であるとの立場を示した。

 数年にわたり国家ぐるみでドーピングが行われていた疑惑が指摘されているロシアは、母国開催となった2014年のソチ冬季五輪で獲得したメダルの3分の1を剥奪され、前週には国際陸上競技連盟(IAAF)から科せられた資格停止処分が継続された。

 今月開かれる国際オリンピック委員会(IOC)の理事会では、韓国で開催される2018年平昌冬季五輪へのロシアの参加可否について決定されることになっているが、インファンティーノ会長はサッカー界の検査レベルに関して、クリーンな試合が行われていることを示すのに十分であると主張した。

 モスクワの大統領府クレムリン(Kremlin)でW杯ロシア大会の組み合わせ抽選会が行われるのに先立ち、記者会見に臨んだインファンティーノ会長は、「FIFAをはじめ、欧州サッカー連盟(UEFA)や各サッカー連盟が統括しているサッカーのように、たくさんの反ドーピング検査を実施している国際的なスポーツはそれほど多くないはずだ。大会期間中もそれ以外のときも血液、尿、生体パスポートの検査がある」と述べた。

「トップチームのプロ選手は、年間50~60試合をこなし、検査を受けている。毎年どれほど検査が実施されているのか把握していない。サッカー界で深刻なドーピング問題があるとすれば、それがロシアであろうと他の国であろうと、とっくに発覚しているだろう」

 W杯組織委員会の責任者でもあるロシアのビタリー・ムトコ(Vitaly Mutko)副首相がドーピングに関与したとの疑惑が取りざたされていることを受け、インファンティーノ会長への質問では、IOCがロシアの五輪参加禁止を決めた場合、同副首相が大会での立場を維持していけるのかとの指摘があった。

 会見でムトコ副首相と同席していたインファンティーノ会長は、「私とFIFAに関する限り、その答えはシンプルだ。何の影響もない。いかなる状況のいかなる臆測にも、私とFIFAは加わらない」と強調。サッカーの統括団体として反ドーピング規則に違反する者には厳しく対処することもつけ加え、「これまで2014年のW杯、コンフェデレーションズカップ(Confederations Cup)、欧州選手権(UEFA Euro)、クラブ同士の試合ごとに検査が行われてきたが、すべて陰性だった」と述べた。

「これらの検査はロシアで実施されたものではない。ロシア国外かつロシア人以外の手で行われているものだ。それは将来も同様で、規則違反やドーピングが発覚した人間には処分が下されることになる」 (c)AFP