【12月1日 AFP】これまでに発見された中で最大規模となる翼竜の卵の化石群について、その内部を3Dスキャンを用いて詳しく調査した研究結果が11月30日、発表された。翼竜は恐竜の近縁種で、空を飛行していたとされる。

 爬虫(はちゅう)類の翼竜は動力飛行を進化させた(昆虫に次いで)最古の動物で、単に跳躍したり滑空したりするのではなく、羽ばたきをして空中にとどまることができた。翼竜は恐竜とともに約6600万年前に絶滅した。

 翼竜の卵の化石については、アルゼンチンの3個や中国の5個など、中身が残っているものがいくつか発見されている。

 米査読学術誌サイエンス(Science)に発表された最新の研究報告は、これまでで最大規模となる215個の卵の化石群に基づくものだ。化石群は、中国北西部に位置する新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)のハミ(Hami)市の長さ3メートルの砂岩塊の中から発見された。

 このうち16個の卵の中に「天山ハミ翼竜(学名:Hamipterus tianshanensis)」として知られる翼竜種の化石が残っていた。

 完全な骨格は残されていなかったが、翼の骨と頭蓋骨のそれぞれ一部と完全な下顎骨1個が見つかった。これらは、これまで不明な点が多かった翼竜のライフサイクルのさまざまな側面に関する情報を提供するものだ。

 中国とブラジルの古生物学者チームが発表した今回の論文によると、チームは3次元CTスキャンを用いて、原形を保っているよく発達した大腿(だいたい)骨を発見した。これは、翼竜が「ふ化の直後から機能する後肢によって恩恵を得ていた」ことを示唆しているという。

 一方で、胸部の筋肉が弱かったことは「生まれたばかりの時はまだ飛行ができなかった可能性が高い」ことと「何らかの形で親による保護を必要としていた可能性が高い」ことを示している。

■営巣行動

 卵が見つかった場所には、成体の翼竜の骨も散乱していた。これは、翼竜が長い間に何度も同じ営巣場所に戻るという現代のウミガメによく似た行動を取っていたことを示唆しているという。

 膨大な数の卵や骨がまとまって見つかったことは、大嵐がこの場所を襲い、湖に吹き飛ばされた卵が少しの間水面を漂った後、沈んで成体の骨とともに湖底に埋まったことを示している。

 また、外側がつぶれていた卵については、トカゲの卵にみられる弾力性と軟らかさに似ていると研究チームは指摘。「すべての卵がある程度変形していた。これは卵の殻が柔軟な性質を持っていたことを示している」と述べた。

 さらに、幼体1個体の推定年齢が少なくとも2歳で、死んだ時点ではまだ成長途上だったことも分かった。これについては「翼竜の抱卵期が長かったことを示す証拠がこれまでに複数見つかっているが、今回の結果もこれを裏付けるものとなった」としている。(c)AFP