【11月28日 AFP】米国の研究チームは27日、折り紙の技術から着想を得てロボット用の安価な人工筋肉を開発したと発表した。この人工筋肉は、最大で自重の1000倍の重さのものを持ち上げる力を出せるという。

 今回の研究成果は、ぎくしゃくとした固い動きの従来型ロボットに代わり急速に広がりつつあるソフト・ロボティクスの分野に進歩をもたらすものだと研究チームは述べている。

 論文の上席著者(シニアオーサー)、米マサチューセッツ工科大学(MIT)ダニエラ・ルス(Daniela Rus)教授(電気工学・計算機科学)は、「まるでロボットにスーパーパワーを授けたようです」と語る。

 査読学術誌の米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された報告書によると、「アクチュエーター」として知られるこの人工筋肉は、金属製コイルまたはプラスチック製シートの骨格を基に作られており、製作費用は1個当たり約1ドル(約110円)。

 折り紙という発想は一部の筋肉でも見られるジグザグ構造に由来している。この構造は、操作に応じて真空装置を使った空気圧や水圧によって伸縮する。骨格には「バネ、折り紙状の折りたたみ構造、ヒンジ状または伸縮する隙間」といったものが考えられると論文は述べている。

 応用可能な使用法としては、火星での拡張可能な居住空間、極小の外科装置、人間が身に着けて使うロボット外骨格、深海探査装置に加え、変形可能な建造物まで挙げられている。

 このロボットは、2.6グラムの人工筋肉で重さ3キログラムの物体を持ち上げることが可能で、これは「マガモが車を持ち上げるのに相当する」という。(c)AFP