新たなサンゴ移植法、豪グレートバリアリーフ再生に期待
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【11月27日 AFP】オーストラリアの研究チームは26日、グレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)の一部で繁殖させたサンゴを別の海域に移植することに成功したと発表した。世界的な損傷が指摘されている生態系の修復を目指すプロジェクトの一貫として実験が行われた。
実験は、オーストラリア東海岸沖のヘロン島(Heron Island)周辺の海で行われた。研究チームは昨年後半、サンゴの卵と精子を大量に採取し、それらを受精させて幼生になるまで育て、損傷を受けているサンゴ礁の海域に移植した。
移植から8か月後、研究チームは水中に設置された網状の囲いの中で、若いサンゴが成長しているのを確認した。
研究を率いた豪サザンクロス大学(Southern Cross University)のピーター・ハリソン(Peter Harrison)氏は、「この新たな調査の成功は、グレートバリアリーフだけに適用するものではなく、世界的な重要性を持つ可能性もある」と語った。
ハリソン氏によると、従来の方法はいわゆる「ガーデニング方式」で、健康なサンゴの枝を折って移植・再生を期待するものや、別の施設でサンゴを育ててから移植するものだったため、今回のようにサンゴの幼生を用いて大規模に回復させる方法とは異なっていると説明した。
実験はフィリピンの海域でも行われた。ここではダイナマイト漁によってサンゴ礁が大きく損傷していたが、結果は良好だった。研究チームは「これらの結果は非常に期待が持てるもので、サンゴの幼生をより大量に投入すれば、より多くの若いサンゴの生育につながることが、われわれの研究によって示された」と述べ、今後、より広域での回復にも寄与できる可能性があることを指摘した。
地球最大の生体構造であるグレートバリアリーフでは、気候変動による海水温度の上昇によってサンゴの白化が2年連続で確認されている。(c)AFP