大気汚染で精子が小さく、研究で確認 疑問視する専門家も
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【11月24日 AFP】微粒子による大気汚染にさらされた男性は、精子が通常より小さく、異常な形になる恐れがあるとの研究結果が22日、発表された。これにより「結果的にかなりの数のカップルが不妊症の問題を抱えることになる可能性がある」と、研究は警告している。
英医学誌「職業・環境医学(Occupational and Environmental Medicine)」に発表された研究によると、15歳~49歳の台湾人の男性と少年6400人以上に関する2001年~2014年のデータを分析した結果、「正常な」精子の減少と微小粒子状物質PM2.5の汚染への暴露との間に「強固な関連性」があることが明らかになったという。
研究結果によると、関連性は3か月の短期暴露と2年の長期暴露の両方で観察されたという。だが、外部の専門家からはこの結論を疑問視する声も上がっている。
2年間にわたる暴露では、大気中のPM2.5濃度が5μg/m3上昇するごとに、正常な形と大きさの精子の割合(正常形態率)が約1.29%の「有意な低下」を示す関連性が認められたと、研究チームは説明している。μg/m3は、大気1立方メートル当たりに含まれるPM2.5の質量をマイクログラム(1マイクログラムは100万分の1グラム)で表した濃度の単位。
被験者がどの程度の汚染に暴露されたかは、被験者の自宅住所における米航空宇宙局(NASA)の衛星観測データを用いて評価した。
精子の正常形態率は低下する一方、精子の数は「恐らくは代償機構として」増加することを、研究チームは発見した。
PM2.5に3か月しか暴露されないケースでも、同様の相関関係が確認された。3か月は、精子が新たに生成されるのに必要な期間とされる。