【11月23日 AFP】「神よ、感謝します!」ネドジバ・サリホビッチ(Nedziba Salihovic)さんは、国連(UN)の法廷がボスニア・ヘルツェゴビナ内戦(1992~95年)の戦犯ラトコ・ムラディッチ(Ratko Mladic)被告(74)に終身刑を言い渡した瞬間、喜びで飛び上がった。

 サリホビッチさんは他の大勢のボスニア人イスラム教徒と共に、オランダ・ハーグ(Hague)の旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(ICTY)がセルビア人武装勢力の元司令官ムラディッチ被告に、ジェノサイド(大量虐殺)と戦争犯罪の罪で判決を下すのを長い間待ち望んでいた。

 1995年にボスニア東部の町スレブレニツァ(Srebrenica)で起きた虐殺事件で夫と父親、息子を失ったサリホビッチさんは「あれから20年、ムラディッチは私の息子を殺したために、ハーグで死を迎えるのです」と語った。息子の遺体は、いくつかの集団墓地に一部があることだけしか分かっていないという。

 サリホビッチさんはほかの人たちと一緒に、スレブレニツァ近郊ポトチャリ(Potocari)村に設置された大型スクリーン3つに映し出された審理の生放送を見守っていた。村には、近くの森林と丘陵で殺害されたボスニア人の男性8000人を追悼する施設がある。

 アルフォンス・オリエ(Alphons Orie)裁判長が判決文を読み上げると、犠牲者の遺族から拍手喝采が沸き起こった。中には涙を流して喜ぶ人や、安堵して互いに抱擁したり接吻をしたりする人もいた。

 ムラディッチ被告は虐殺を命じたという起訴内容を否認。被告の息子は22日、被告は上訴する意向だと述べている。

 遺族の中には、終身刑ですら被告が犯した残虐行為を償うには十分でないと考えている人もいる。スレブレニツァの虐殺で親類42人を失ったアイサ・ウミロビッチ(Ajsa Umirovic)さんは判決前に「もし彼が1000回生きて1000回終身刑に科されたとしても、正義が果たされたとは言えない」と話した。(c)AFP/Katarina Subasic and Rachel O'Brien with Rusmir Smajilhodzic in Sokolac and Celine Jankowiak in Sarajevo