【11月21日 AFP】米国人女性とカナダ人男性の夫婦がアフガニスタンの旧支配勢力タリバン（Taliban）系組織に5年間拘束された末に救出された事件で、妻のケイトラン・コールマン・ボイル（Caitlan Coleman Boyle）さん（31）が、20日に放映されたABCニュース（ABC News）の番組で拘束中に戦闘員らから受けた暴力体験を赤裸々に語った。

　ケイトランさんと夫のジョシュア・ボイル（Joshua Boyle）さん（34）は2012年にアフガニスタンを旅行中にタリバン系のハッカニ・ネットワーク（Haqqani Network）に拉致され5年間拘束され、その間に子どもを3人もうけた。夫婦と子どもたちは先月、パキスタン軍に救出され、現在はカナダで暮らしている。

　パキスタン軍は夫婦を軍事作戦で救出したと語っているが、米国とカナダの当局者らは「交渉により解放された」という見解を示しているとされる。

　ABCニュースの番組でケイトランさんは、拘束中の状況を「子どもが接するにはとても耐えがたい環境だった」と語った。見張り役の戦闘員らは非常に暴力的になることもあり、ケイトランさんや現在4歳になる息子を棒でたたいたという。「殴られたり、たたかれたりしたし、地面に投げつけられたりもしました」

　夫のジョシュアさんもABCニュースに、ケイトランさんは子どもをかばって頬骨と指3本を骨折したと語った。

　自分たちが斬首される可能性を危惧した夫婦は、段ボールの切れ端や瓶のふたで子どもたちのために17世紀英国のオリバー・クロムウェル（Oliver Cromwell）のピューリタン革命で1649年に処刑されたイングランド王のチャールズ1世（Charles I）の人形を作った。

「ああいう人たちが常に斬首のことを考えているのは明らかだったし、自分の家族にそういったことが起こってもおかしくないと夫もわかっていた。だから私たちは子どもたちが斬首を怖がらなくてすむような遊びを考えたのです」（ケイトランさん）

　一家がカナダに帰国してから夫のジョシュアさんは、2人を拉致したグループが四女を身ごもっていたケイトランさんを「強制的に流産」させ、レイプもしたと非難している。

　このことについてケイトランさんはABCニュースに「私たちが捕らわれている小部屋に見張り役の戦闘員らが入ってきて夫を外に引きずり出した後、1人が私を押し倒して殴りながら『殺してやる』と叫び私に性的暴行を加えた」と語った。結果的にケイトランさんは3人からレイプされ、戦闘員らは服も返してくれなかったという。(c)AFP