【11月17日 AFP】サイバー犯罪者らが、「フェイク(偽)ニュース」の概念を巧妙に取り込み、大きな利益を生み出すビジネスモデルの一つに仕立て上げようとしている。中には10ドル(約1100円)未満から利用可能なサービスもある──。インターネットセキュリティーの専門家らが、17日に発表した報告書で明らかにした。

 英米に拠点を置くインターネットセキュリティー会社のデジタルシャドーズ(Digital Shadows)は、偽メディアのウェブサイトやうその商品評価、さらに商品やサービスを販促したり逆に中傷したりするソーシャルメディア上の自動アカウント「ボット」といったサービスに焦点を当てた報告書をまとめた。

 これによると、本物の報道機関のサイトのように見える「なりすまし」メディアサイトの作成サービスも存在し、更新が続いている偽メディアサイトは約2800件見つかったという。偽メディアのコンテンツも「正式なニュース記事と同様に、共有され、共感や肯定の対象となり、再掲載され、さまざまなプラットフォームやチャンネルに拡散している」と、同報告書には書かれている。

 デジタルシャドーズのリック・ホランド(Rick Holland)戦略部長は、こういったツールが提供されていることで、参入障壁が前例のない低さに下がってきているとみている。例えばボット管理の「ツールキット」は、試供版でわずか7ドル(約790円)前後から手に入るという。

 ホランド氏は、こういった手法が地政学の範囲を超え、企業や消費者に影響を及ぼす金銭的利害にも関わってきていると指摘している。

 小売業界がターゲットになっている例としては、インターネット通販大手アマゾン(Amazon)で、ランキングやレビュー、商品の表示順などで有利な操作を目指すサービスも登場。レビュー1件を5ドル(約560円)で投稿する、月額500ドル(約5万6000円)で一括管理するといったものもあるという。

 こういったサービスの多くは、利用者の追跡が難しいいわゆる「ダークウェブ」上で宣伝されているものの、マーケティングツールとして堂々と紹介されているものもあると、ホランド氏は述べている。(c)AFP