【11月16日 AFP】米中西部に暮らすキリスト教の一派アーミッシュ(Amish)の人々に、それを持たない人よりも10年長生きすることを可能にしているとみられる遺伝子変異が見つかった。米ノースウエスタン大学(Northwestern University)や東北大学(Tohoku University)のチームが15日、米科学誌「サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)」に発表した。現代技術を拒否して生活するアーミッシュの人々の健康長寿を解明する手掛かりとなる成果だ。

 アーミッシュはペンシルベニア(Pennsylvania)州などに住むプロテスタントの一派。自動車や電話などを使わず、独自のコミュニティーを形成している。その健康な老い方について10年以上にわたって研究が行われてきた。

 研究チームはインディアナ(Indiana)州バーン(Berne)のアーミッシュコミュニティーの人々177人を調査。そのうち43人に「SERPINE1」と呼ぶ遺伝子の変異があることを発見した。

 平均寿命はこれら43人が85歳だったのに対し、残りの住民の平均寿命は75歳だった。

 こうした遺伝子変異を持つアーミッシュの人々は糖尿病にも極めてかかりにくく、代謝も良い。

 論文の主執筆者であるノースウエスタン大のダグラス・ボーガン(Douglas Vaughan)氏は「彼らはより長く生きているだけではない。より健康的に生きている」「長生きの理想型だ」と述べた。

 細胞の老化で中心的な役割を果たしているたんぱく質はプラスミノーゲン活性化抑制因子1(PAI-1)とみられており、SERPINE1遺伝子の影響を受ける。

 PAI-1は動物の加齢に関連があることが知られているが、ヒトでの影響はいまだ解明されていない。

 ノースウエスタン大と東北大のチームは、加齢に関連した病気を予防し、寿命を延ばすことを目指し、この遺伝子変異の効果の再現を目指した試験薬の臨床試験を行っている。(c)AFP