【11月15日 AFP】2007年に起きた世界金融危機以降の10年間で世界の富は27%増大したが、貧富の格差はいっそう広がったとする報告が14日、発表された。

 スイス金融大手クレディ・スイス(Credit Suisse)の調査部門が毎年発行している、世界の富に関する包括的な調査報告「グローバル・ウェルス・レポート(Global Wealth Report)」によると、特に昨年半ばから今年半ばの1年間における世界の富の成長ペースは過去5年間で最も速く、6.4%増となっている。広範な株式市場の好況に加え、不動産のような非金融資産で保有される富が金融危機発生直前の水準を初めて超えたことなどが要因となっているという。

 富の増大は世界全体で起こっているが、一方で恩恵を受けている層は明らかに一部であり、世界人口の10%未満の人々だけで、世界の富全体の86%を所有しているという。同レポートによると2000年以降、保有資産3000万ドル(約34億円)以上の個人は5倍に増え、世界で4万5000人に上っている。

 クレディ・スイスのレポートはまた、いわゆるミレニアル世代が前の世代よりもはるかに厳しい市場環境に置かれている点を詳細に指摘。そのため、ミレニアル世代は「富を得る展望も限られがちだ」という。

 ミレニアル世代は世界金融危機による損害を直接被っていることに加え、「それに続いた失業や所得格差の増大にも直撃され、不動産価格の高騰や住宅ローン規制の厳格化にも見舞われ、さらに一部の国では教育ローンも大幅に増えている。一方で、彼らよりも前の世代ほど年金へのアクセスが見込めない」とレポートは論じている。(c)AFP