米の核攻撃、大統領権限めぐり上院で議論
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【11月15日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長が北朝鮮の核・ミサイル実験を機に激しい言葉の応酬を繰り広げるなど緊張が高まる中、米上院外交委員会(Senate Foreign Relations Committee)は14日、核攻撃を開始する大統領権限の制限について公聴会を開催した。
反トランプの急先鋒に立ってきた共和党議員を中心とする上院議員らは、大統領が米国の敵国に対する核の先制攻撃を決定すると想定し、公聴会に出席した専門家らに意見を求めた。
民主党のクリス・マーフィー(Chris Murphy)上院議員は「米国の大統領は不安定で気まぐれだ。意思決定プロセスも無謀で、米国の安全保障上の国益から大きく逸脱した核攻撃を命じるかもしれない」と述べた。
公聴会に出席した議員や専門家らは、米国が核攻撃を受けるか、攻撃が差し迫った場合には、合衆国憲法に基づき大統領には国を守る完全な権限があることを確認した。米国では大統領だけが「核のボタン」を押すことができる。
ボブ・コーカー(Bob Corker)委員長は「(大統領の)命令が下され、確認されれば、それを覆すことはできない」と語った。
論点の一つとして取り上げられたのが「差し迫った」状況の定義だ。北朝鮮がミサイルを発射台に載せれば差し迫った状況と言えるかもしれないが、その他の場合は解釈が不明確で、厳格な定義はないとの意見も出された。
2011年から13年まで米戦略軍(US Strategic Command)を率いたロバート・ケーラー(Robert Kehler)氏は、基本的な軍の指針に言及し、「軍は合法的な命令に従う義務がある。しかし、違法な命令には従う義務はない」と述べた。
合法的な命令についてケーラー氏は、軍の指針である「必然性」と「均整」も核攻撃の決断に適用されるとしたが、大統領による核攻撃命令が違法だと判断した場合にどのような対応を取るか問われると、「正確には分からない」「人的要因も影響する」と述べるにとどまり、仮定の質問への回答にちゅうちょする場面もあった。
バラク・オバマ(Barack Obama)政権時代に国防次官を務めていたブライアン・マケオン(Bryan McKeon)氏は、司令官が大統領命令を違法だと判断した場合、大統領は司令官はもとより国防長官も交代させることが可能だと述べた。しかし「憲法の危機を招く」とも警告した。(c)AFP