短気で不運なドナルドダック、ドイツでなぜ大人気? コミック50周年
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【11月19日 AFP】ディズニー(Disney)のトップスターといえば、世界中ほとんどどこでもミッキーマウス(Mickey Mouse)だが、ドイツは例外。この国ではドナルドダック(Donald Duck)が王様だ。文豪ゲーテ(Goethe)の国に、かんしゃく持ちのドナルドダックを主人公とするコミックが上陸してから50年以上にもなるが、雑誌の売店では今なおベストセラーとして根強い人気を誇っている。
短気なドナルドダックとその家族──金貨のプールの中で泳ぐのが好きな裕福でけちな伯父さんスクルージ・マクダック(Scrooge McDuck)や、ドナルドのいたずら好きなおいっ子ヒューイ(Huey)とデューイ(Dewey)とルーイ(Louie)を描いたいわゆる「Lustiges Taschenbuch、LTB(「おかしなペーパーバック」の意)」を読んで育った子どもたちは、この国には何世代もいる。
今でも夢中になっている大人の読者も多く、「ドナルディスト」という名称もあるほど。中でも熱烈なファンは、定期的に集まっては最新刊を一緒に熟読、分析し、色鮮やかなコミックの版ごとの違いを指摘し合う。
「(分析した)結果は私たちの業界誌「ザ・ドナルディスト(The Donaldist)」に掲載され、年次総会で発表され、皆で論議します」と語るアレクサンダー・ポス(Alexander Poth)氏(46)が初めてLTBに出会ったのは2歳のとき。ポス氏はこの年次総会を主催しているドイツ・ドナルディズム非商業会員組織(D.O.N.A.L.D)の会員だ。
エリカ・フックス(Erika Fuchs)氏はドイツでのドナルド人気に一役買ったが、初めて編集者からコミックの翻訳を依頼されたときはおじけづいたという。
フックス氏は結局その仕事を引き受け、ディズニーのイラストレーター、カール・バークス(Carl Barks)氏が生み出した架空の町ダックバーグ(Duckburg)を永遠に造り替えてしまった。コミックの原作を直訳する代わりに、ドイツ南部オーバーフランケン(Oberfranken)地域に舞台を設定し、物語にバイエルン(Bavaria)の典型的な農家とパン屋を加えたのだ。